N.GKS(エヌ・ジクス)のblog

海外での植林ボランティア活動をしていた団体N.GKS(エヌ・ジクス)のブログサイトです。 (2020年8月25日よりURLをhttp://からhttps://に変更しています。)

N.GKS(NGO.Green Keeping and Supporting organization) 日本語名「エヌ・ジクス」は、
1998年に京都で結成された「緑の協力隊・関西澤井隊」を改組した非政府・非営利の植林ボランティア団体で、世界の子どもたちに「木を植え育てる心」をはぐくむことを主な目的として、現地の子どもたちと植林・育林するボランティア・ツアーを2018年まで主催してきました。
記事・画像・資料などのご利用はお気軽にお問い合わせください。

新年あけましておめでとうございます。

本年もN.GKS(エヌジクス)のblogを
どうかよろしくお願いします。

 
                    2016年 申年 元旦
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ええ、なにせ今年は申(さる)年なので・・・
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                  (2015.11.01 ボルネオ島・サラワク州セメンガ・ワイルドライフセンターにて)

ま、ウータンくんはモンキーではなくエイプ、しかも森の人なんですが・・・


昨年2015年は3月の20次隊、10月の21次隊と、2度のボルネオ島への植林ボランティアツアーを主催し、本来熱帯雨林に生えていた有用木1000本以上を現地の子どもたちと植えてきました。さらに21次隊ではサバ大学・熱帯生物保全研究所ITBCを訪問、直接所長から今後のN.GKS活動に協力しましょうとの力強いお言葉をいただき、また12月には東京ビックサイトでのエコプロダクツ2015にもブースを出展しました。

今年2016年も2月には京都府亀岡市でN.GKS展を開催予定、さらにボルネオ島サラワク州への22次隊ツアーを実施予定です。
22次隊については詳細が決まり次第、順次このブログサイトでもお知らせします。

植林活動を通じて子どもたちに「木を植え、育てる心」をはぐくむことに加え、その地域の自然や文化や人を知ることも我々のツアーの大きな目的です。

子どもたちとの植林だけでなく、子どもたちをはじめ現地の人たちとの交流、現地の自然や文化を知るためのトレッキングやリバークルーズをはじめ、様々な探訪などツアー内容は豊富です。(ま、わたくし98kにはショクリン・ツアーというよりいつもショクヨク・ツアーなんですが・・・)

ツアーに参加するには一週間程度のお休みを取らねばならず、各種の助成金・補助金をいただいてはいるものの自己費用は15万~20万円程度になり、決してお気楽な負担ではありませんが、生徒・学生への会からの補助制度もありますので、多くのみなさんのご参加をお待ちしています。
また賛助会員や苗木代の寄付も受け付けてますので、お気軽にお問合せ下さい。

今年もボルネオの熱帯雨林でお会いしましょう!!!
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                                                                                      (2015.10.31 ボルネオ島・サラワク州サバル森林保護区の植林地にて)


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今回は「森林ジャーナリスト」田中淳夫氏の著書を三冊ご紹介させていただきます。

まずは・・・
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「森と日本人の1500年」2014年10月15日初版発行の平凡社新書であります。

例によって目次だけご紹介(問題があるようなら削除しますので連絡をお願いします。)
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氏の著書は本のタイトルや各項のタイトルに「・・・常識の嘘」本や、「買ってはいけない・・・」本みたいに、えっ???となるものが多いのですが、さすがにご自分で「森林ジャーナリスト」を称されるだけあって、これは専門外の読者も惹きつけるためのものでしょう。

内容そのものは現地踏査や文献資料、専門知識を活かして素人にも分かりやすく書かれた「入門書」で、著者の主張もあるものの、素人が環境問題をセンセーショナルに煽るだけの本とは一線を画しています。

同著にあった著者の略歴であります。
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第一章では、我々の親しんでいる日本の森や里山が決して不変のものではなかったこと、

第二章では「都づくり」で「日本の林業」が定着したものの、戦国時代には伐り尽くされて荒廃し、江戸時代に入っても全国規模での植林はなく、幕末から明治にもっとも森が荒廃していたこと、

第三章では明治以降の紆余曲折で大部分が国有林となって、しかも井上馨と大久保利通の権力争いで、たまたま払い下げられずに残り、独仏よりは遅いが英米よりは早く治水三法(河川法・砂防法・森林法)が制定され、吉野林業とドイツ林学をお手本にようやく全国的な森の育成がはじまったことなど、

第四章では戦後の荒廃から木材の高騰、スギ・ヒノキの単一植林から外材の輸入、ゴルフ場開発などで、細々と残っていた混農林業(アグロフォレストリー)の消滅、間伐さえ反対する無知な自然保護運動の台頭、その後の「草刈り十字軍」など森林ボランティアの誕生から今後の日本の森のあり方まで・・・

ざっと紹介するとこんな感じですが、どの項でも事実や文献資料などがわかりやすく紹介されてて、まさに「入門書」としてふさわしい内容でした。

著者の主張を裏打ちするといったやり方ではなく、歴史上の一般的にはあまり知られていない事実が客観的に紹介されてるので、「この項ではいったい何が言いたかったの???」と感じることもありましたが、これも入門書としては、むしろふさわしい態度といえるでしょう。

知らなかったことも多く、あらためて森と日本人の「キレイゴト」ではない歴史が理解できましたし、日本の林業史を素人が概観するにもちょうどいい一冊でした。

で、こちら・・・
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「割り箸はもったいない?」2007年5月10日初版のちくま新書であります。
表紙に書かれているとおり、割り箸追放運動やマイ箸ブームが加熱する世相に一石を投じたもの・・・

やはり目次のみのご紹介であります。
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目次だけ見ても想像していただけると思いますが、当時わたくしが考えていた割り箸の是非論について、専門家の立場でうまくまとめてくれてて、わたくしこの本で著者の存在を知った次第。

ただこの著書を読む前から、ロシアやモンゴルの原生林を回復不能なまでに皆伐したシラカバなど(のごく一部)が、今の日本の割り箸のほとんどすべてであることは知っており、わたくしキャンプ宴会では数十年前からメラミン食器と竹製割り箸の使い回し、今でも割り箸の大量使い捨てには否定的なんですが、使い捨てからモッタイナイへの環境教育や企業のキャンペーンなら、他にやることがいっぱいあるのに割り箸を大々的に取り上げている風潮には、なんとなく疑問を感じてました。

著者自身は割り箸が大好きだそうでタイトルなどはまたまた「喫煙は有害?」みたいにセンセーショナルなんですが、大部分の内容は割り箸を通じて、本来の木材の使われ方、森と人との関わり方について、無知による誤解を解こうとする客観的事実の記載でした。

環境教育や企業のイメージアップの一環として行われていた「割り箸追放運動」や「マイ箸」ブームが、独りよがりな環境保護論者の免罪符になっていることへの反論だったともいえるでしょう。

たとえば1989年からの割り箸追放運動のきっかけは1986年にWWFがボルネオ・サラワク州の熱帯雨林破壊に警告を発したことと、1989年4月のWWF内部レポートに割り箸批判が掲載されたこと、当時バブル絶頂期だった日本が熱帯雨林の木材の3割以上を輸入していたことなどが重なり、バブルや大量消費生活への批判が「割り箸追放」に集中して、自治体や企業も加わり急速に展開していったが、事実としては1990年に最も多く輸入されていた割り箸材はインドネシア産の松ヤニを採取した後の(植林された)松で熱帯雨林に自生していたものではなく、輸入量も全体の0.3%以下だったと説明されています。

さらに今や割り箸のほとんどが中国製で「割り箸が中国の森林を破壊している。」との批判には、この本が出版された2007年時点でも1998年夏の長江大洪水以降、中国では国家規模での植林(これには我々日本のNGOの活動もあったことも書かれています。)と伐採禁止の施策を実施しており、すでに生長量が消費量を上回っていること、さらには中国の国内で伐採できなくなったこともあり、安価なロシアやモンゴルのシラカバ原生林が皆伐されているが、今では加工技術が発達しており合板材料などに全てが使えるので、割り箸利用を止めても森林保護には殆どつながらないし、実際に割り箸用として使われるのは0.1%以下であるとしています。

もちろん原生林が回復できないほど過度に皆伐されている事実は大きな問題として書かれてましたが、こちらは「割り箸にも使えるから皆伐する。」のではなく、「単にコストが安いから皆伐する。」という効率の問題なんでしょう。わたくしは当時、割り箸用は付加価値が高いと思ってましたが今はどうなんでしょうね。
ちなみにロシアでも(2007年執筆時点でも)伐採規制はかなり厳しくなっていたそうです。

他にも1940年に軍の情報局長が軍用木材不足から「割り箸不要論」を提唱したが、木材として使えない端材の有効利用であることが分かって撤回したことや、同年に大阪市役所の職員が中心となって「箸を持って歩く会」が結成されており、「マイ箸」運動が戦前から割り箸追放とセットものだったこと、東京、ソウル、北京とアジアでオリンピックが開催される都度、その国の衛生当局が飲食店に割り箸を奨励し普及していったことなど、知らなかった話も多く興味深く読めました。

ま、結論的には、森林資源の使い捨て見直しをいうなら、世界的には薪や炭など燃料としての使用だし、日本ではパルプ(紙コップや紙皿やティッシュ、過剰包装など)としての大量の使い捨て消費であり、割り箸は規模も小さく環境への影響も少ないうえ、割り箸を否定すれば「もったいない」が前提の日本の林業の(端材商品の)最後の砦を失うことになり、日本の林業そのものが壊滅しかねない、日本では人工林を無駄なく活用する林業の発展こそが森林環境にとっても最重要、逆に世界的には熱帯雨林や亜寒帯では過剰伐採が進んでおり、どうしても森林環境保護イコール伐採禁止となるが、ヨーロッパでは森林環境に配慮した(持続可能な)木材生産システムで伐採量が急増しているのに森林面積は増えており、世界的にも森林認証による林業での環境保護が有効といったことでした。

こちらも「・・・常識のウソ」本みたいなタイトルですが・・・
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「日本人が知っておきたい森林の新常識」であります。
2011年11月9日初版発行で洋泉社刊、こちらは奥様が図書館で借りてきたもの・・・

こちらも目次のみ紹介させていただきます。
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各項目も「・・・常識のウソ」本そのもので、なかなかセンセーショナル・・・

内容は環境問題をある程度(客観的に)理解している人から見れば「常識」の範疇なんでしょうが、知らない人や誤解していた人たちから見ればまさに「新常識」で、啓発書としてもよくできています。

たとえば、最初の「森は二酸化炭素を吸収しない」とゆー項目・・・
生長する樹木が光合成で吐き出す酸素量と呼吸で使う酸素量の比は一般的に2対1とされている、ところが森に棲む(主に菌類など)他の生物が呼吸で使う酸素量が1とされてるので、森全体としては酸素を自給自足していることになり、これは二酸化炭素量についても同じ、といった内容。

で、温暖化防止に役立つ森とは、二酸化炭素をもっと活発に吸収し、酸素をもっと活発に吐き出す木、つまり生長中の若い木だけの森なので、原生林の老木や巨木は切り倒してどんどん植え替えましょう、さらに伐った巨木は燃やしたり腐らせると二酸化炭素を出すので木材や炭として(腐らないように)手間暇かけて置いておくしかないですね・・・
さて、地球の将来に危機感を持つ(活動家の)みなさんは、巨木の伐採にも賛成してくれるかな・・・といった皮肉な感じの導入部なんですが、もちろん原生林の有用性を否定しているわけではなく、森林は温暖化防止に役立つから保護すべきといった一元的な保護論への警鐘で、あらためて指摘されると、なるほどと感心させられます。

次の「森に水源涵養機能はなかった」も、山の貯水能力は主にその山の母岩の性質で決まることがすでに証明されてますよ、森林が作り出すわけではなかったんですよ、ひひひひ・・・といいつつ、洪水(流量)調節機能や土砂流出防止機能などは、やはり森林が持っている人間にも重要な機能、だから水源涵養のためなどと単一的な見方だけで原生林や人工林のあり方を考えないように、というふうに、すべての項目がそれぞれの問題提起になっているのがポイント。

第二部では「人による森の異変」が述べられ、里山とゴルフ場の生物多様性などの人為による近似性や、ボルネオやアマゾンの熱帯雨林、さらには縄文時代の三内丸山の自然も人為的なものだったこと(三内丸山については過日NHKの「アジアの巨大遺跡」特集で、農耕をせずに5000年以上も栄え続け、結果的には農耕により栄えた四大文明よりもはるかに持続性があったことに、今世界中が注目していると紹介されてましたね。)など、興味をそそる話題が多かったですが、今ようやくアグロフォレストリーが注目されているものの、これらは人類が太古から自然破壊を繰り返してきたということではなく、もともと人為そのものが自然の一部だったという結論。
そういえばモンゴルの大草原も人間が適度に遊牧することによって1000年以上、豊かな草原環境が維持されてきたのが、最近は過放牧や採掘による森林伐採などで草が短くなり荒漠地化が進んでますが、人間による放牧が少なすぎても草の種類や量は減少するんでしたね。

第三部は日本の林業と森との関係、木曾や吉野など一部を除き1950年代までの大部分の林業は薪や炭としてのエネルギー供給が大部分で木材供給はあくまで臨時収入だったこと、戦後の木材の高騰で単一植林が爆発的に増えたものの、その後の外材輸入で一度も収穫されることなく放置されている人工林も多く、エネルギーも石油に変わったので薪や炭としての需要もなくなり多くの雑木林を含む人工林が荒れ放題になっていること、素人の森林ボランティアが雑木林などを手入れした場合、大木を残すので森が「少子高齢化」しがちなこと、日本の伝統的林業の殆どは焼畑から誕生したアグロフォレストリーで、昔はあらゆる段階の木材や枝葉まで無駄なく商品化できたが、今はマグロの大トロだけ食べて残りは捨てているようなもの、「安い外材のせいで国産材が売れなくなった。」は嘘で、国産材が安定供給できず補助金漬けで新商品開発や生産性の向上もできなかったことが林業不振の原因など、こちらでは著者の指摘する問題点やその原因などが述べられています。

新月伐採やマイナスイオン商品、ケナフ栽培などは環境保護のニセ科学として、けちょんけちょんにこき下ろしてましたが、最後は2004年に北海道で誕生した、あらゆる機会を通じて樹木に親しむようにする「木育」の発展や、人類の自然への「寄生」から、自然との「共生」や「共進化」といったキーワードで締めくくられてました。

三冊とも林業あるいは混農林業(アグロフォレストリー)が環境問題を考える際には最重要という観点が貫かれていますが、独りよがりな環境保護論者への批判からか、どちらかといえばシニカルな書き方もあり、研究者の書く入門書とはちと異なりますが、ご本人もこの著書のあとがきに書かれているように「森林ジャーナリストとしては、自然科学の目だけでなく、かといって産業としての林業の情報を追いかけるだけでもなく、森林とそれに関わる人々の両方を見つめる視点が重要」なんでしょうね。

いずれの著書も、わたくしのような素人の入門書として、わかりやすい好著でした。


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このサイトの当面の管理人98kの自己紹介記事です。
樹木や植林に関しては全くの素人ですが、昔からアウトドア遊びが好きで自然にも興味があったことから、1998年「緑の協力隊・関西澤井隊」の設立当時からN.GKSの活動に(もっばら宴会要員として)関わっています。大阪市北区生まれ・同市住之江区在住。

植林ボランティア以外のアウトドア趣味については・・・
SUREFIREを一本も持たず知識も技術もない「安物フラッシュライトファン」
カヤックをクルマに載せて河原に行き、川に指を入れてみて少しでも冷たく感じたら
宴会だけして帰る「極悪パドラー」
山頂で宴会して酔っ払った勢いで下山する「危険なアルピニスト」
めったに有料キャンプ場には行かず、あちこちの河原でキャンプ宴会する
「お騒がせキャンパー」(あっ、生ごみは焼却、それ以外は持ち帰ってます。)
2014年の春から自転車での徘徊を再開、仲間と走っててもすぐに休憩するので、
いつも置いて行かれる「孤高のサイクリスト」(こちらは初心者)
初参加の女の子をアンブッシュして、不安げな表情を可変倍率スコープで確認してから確実にヒットする「非情なスナイパー」(これは過去形)
歪んだ画像を好んで撮り、現像、引き伸ばし段階でどんどん粒子を荒くしてゲージュツ作品にしてしまう「やっつけフォトグラファー」(これはもっと過去形)
などなど・・・

せっかくなので、過去記事の中から植林地での自画像を古い順にピックアップしておきます。

2006年7月9次隊・モンゴル・ウランバートル近郊の植林地にて・・・
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同・中国・内蒙古自治区・クブチ沙漠の植林地にて・・・
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2010年1月13次隊・マレーシアボルネオ・サバ州キナルの植林地にて・・・
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同・サラワク州サバルの植林地にて・・・
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2011年6月15次隊・モンゴル・ウランバートル近郊の植林地にて・・・
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2012年8月17次隊・中国・内蒙古自治区・クブチ沙漠の植林地にて・・・
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2013年8月18次隊・マレーシアボルネオ・サラワク州サバルの植林地にて・・・
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2013年9月・同サバ州スカウの植林地にて・・・
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2015年10月21次隊・マレーシアボルネオ・サラワク州サバルの植林地にて・・・
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2015年11月・同サバ州・サバ大学・熱帯生物保全研究所ITBCの記念植樹地にて・・・
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同・サバ大学のキャンパスにて・・・
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ま、こちらは植林地そのものではありませんが、なにせじょしだいせーたちなので

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12月10日から東京ビッグサイトで開催されるエコプロダクツ2015に、
N.GKSブースを出展しますので、以下のとおりご案内します。

エコプロダクツ2015出展のご案内
会期:2015年12月10日(木)~12日(土) 3日間
会場:東京ビッグサイト
(N.GKSブースはN-72 東4ホール 4-901)

また、会期中の12月11日(金)午後6時から、会場周辺で関東部会を中心とする懇親会を開催予定です。参加できそうな方は、この記事へのコメントやメッセージでお問い合わせ下さい。詳細を連絡させていただきます。

みなさんのご来場をお待ちしています。
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                  (21次隊・マレーシアボルネオ・サラワク州サバル森林保護区にて。2015.10.31撮影)


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21次隊・ボルネオ植林ツアー報告も、いよいよ今回が最終回であります。

朝からサバ大学(UMS)熱帯生物保全研究所(ITBC)を訪問し、今後は我がN.GKS隊の活動に協力しましょうとの、所長であるチャールズ教授からの力強いお言葉をいただき、学生たちと一緒に昼食もいただき(さらにわたくしはおかわりもいただき)、ついでに所長の愛車ワーゲンビートル1967年式もいただき、もとい、見せていただき、一行は同じ大学構内にある水族館へ向かいました。
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大学の中に桟橋まであるんですね・・・まるでビーチリゾート・・・


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海岸沿いに水槽群が並んでますが、この向かいに水族館がありました。
水産学部とか海洋学部とかの付属なのか、理工系学部に水産研究所とかがあってその付属なのか、大学の案内パンフレットはすべてマレー語だったのでよくわかりませんが・・・

ま、そんなことより、ここで特筆すべきなのは・・・
この水族館の玄関前テラスでお弁当を食べてたのは、なんと、じょしだいせーたち!!!
訊けば経済学部の学生とのこと、眺めのいいこのテラスまで来て食べてたようです。

とーぜん、せっかくなので・・・
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わははは、幸せじゃあ!!!!

日本から来た植林ボランティアであることを伝えると、みなさん感動してくれてました。
いやあ、お話できてよかったなあ・・・

と、サバ大学訪問の本来目的???を果たしたわたくし、ようやく水族館に入ります。
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正面玄関は閉ってたので、こちらの通用口から・・・(S田隊員提供画像)


玄関ホールの頭上には・・・
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ボルネオ沖の海底に実在する300m続く垂直洞窟が・・・ぶくぶくぶく・・・


ボルネオの海底世界を散策します。
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カメラを水族館モードにするのを忘れてたので・・・
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写真パネルを撮ったりして・・・


こちらはマレーシアに生息する水棲哺乳類の一覧ですね・・・
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こちらもあやしい水棲哺乳類の一種・・・
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ここは正確にはUMSのAquarium&Museumなんですね・・・ぶくぶくぶく・・・


屋外には・・・
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伝統的な船の展示もありました・・・

と、サバ大学で有意義なひと時を過ごした後は以前植林に行ったキナルの手前にある、
ロッカウイのワイルドライフパークへ・・・
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こちらはセメンガの自然保護区とは異なり動物園に近い感じで、かなり寂れてましたが、
それでも熱帯雨林のど真ん中にあるので、やはりそれなりの雰囲気はあります・・・

ボルネオの希少な動物たちが確実に身近で見られるというのも、ありがたいことです。

いろんな画像を撮りましたが野生では滅多に見られない希少種を中心に紹介します。

まずはボルネオ象の子象さん・・・
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声をかけると、とことこ駆け寄ってきます。


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なでなでしたり、餌をあげたり、野生では絶対にできない身近な体験も重要ですね。


こちらは大人のゾウさんたち・・・
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背景はボルネオの熱帯雨林そのものです。


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アジア象の分布などを示したボードですが、ボルネオピグミーエレファントがアジア象の亜種と特定される以前の古いもののようで、現在の生息域はさらに小さくなってるのでしょうね・・・


こちらは「マレーの虎」ハリマオであります。
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野生ではボルネオ島にはいませんが、マレー半島には僅かながら生き残っています。


せっかくなので、さらにズームアップ・・・
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やはり風格がありますね・・・ま、大きなぬこさん(クチン)なんですが・・・


こちらはマレーグマくん・・・

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ずっとうろうろしてて、なかなかいいシャッターチャンスがありません・・・


で、おなじみになったS田隊員提供画像の登場・・・
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餌をあげる瞬間なのか、独特のポーズをうまく捉えてますね。


こちらはおなじみウータンくんの子どもたち・・・
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二人で空中ブランコみたいにつながって、ぶらぶらして遊んでました。


ここでも餌をあげることができ、バナナを投げると地上に降りてきて・・・
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大きらいな水面に落ちたバナナも、手だけ伸ばして上手に拾います。
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よく確認したうえで・・・


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ぼそぼそと食べてました・・・やはりドリアンのほうが好きなのかな・・・


こちらはマレーシアの国鳥サイチョウくん・・・
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ズームアップしてよく見ると・・・
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けっこう精悍な顔つきをしてますね・・・

と、ボルネオでのスケジュールはここですべて無事に終了、夕方前にはホテルに戻り、
シャワーを浴びて荷物を整理、コタキナバル空港へ向います。

お世話になったN村社長とは空港でお別れ、今後はサバ大学・熱帯生物保全研究所の協力を得て、スカウ村などで植林活動を続けていきましょうと固い約束をしました。

で、クアラルンプール行きの国内線に搭乗。
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マレーシア航空では、しょっちゅうメッカの方向が表示されますが、コタキナバルから
クアラルンプールに飛ぶには、ほぼクチンに戻るコースをたどるんですね・・・

この機がやや遅れ、巨大なクアラルンプール空港で食べたり遊んだりする時間はなかったんですが、関西空港行き自体も一時間ほど遅れて日付が変わってからの離陸、例によって深夜の軽食やスナックでワインなんぞをかぱかぱ飲んでると、あっとゆー間に早朝の朝食が出てきて・・・
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広島上空あたりで夜明けを迎え、全員無事に帰国しました。
この日わたくしは2時間遅れで出勤、さすがに午後からは眠くてつらかったです。

2015年秋の21次隊ボルネオ植林ツアー記事は今回でおしまいです。
サラワクでお世話になったN島さん、森林局のみなさん、テラグス小学校の先生、生徒、父兄のみなさん、サバでお世話になったN村さん、Ayuさんのご両親、ITBC所長のチャールズ教授、院生、学生のみなさん、
ありがとうございました。ティリマカシー!!!(マレー語で!!!)

今回も事前の助成金申請や旅行社との交渉など周到な準備をしていただいたT富隊長、クチンでサバル植林に向かう間、詳細なレジュメで熱帯雨林の講義をいただいた樹木医のN井隊員、わたくしの依頼でずっとN.GKSの横断幕を持ち歩いてもらい、画像提供までいただいたS田隊員(さらにわたくしの写っている画像はその殆どが彼に撮ってもらったものです。)、空飛ぶ車椅子や鉛筆プレゼントをセットいただいたT田隊員をはじめ今回参加の隊員のみなさん、タオル寄付や助成など数多くの後方支援をいただいたみなさん、
おおきにご苦労はんどした!!!(京都語で!!!)

次回は来年の秋か冬に、ふたたびボルネオを訪ねる予定です。
機会があればぜひご一緒しましょう!!!




今回連載を終えての雑感P.S

NHKの「アジアハイウェイを行く」という番組で、過日インドネシアとマレーシアを取り上げてました。
インドネシアは多くの島からなる300以上の民族で構成される多民族国家で、民主化後十数年を経て若い世代の模索が続いている、いっぽうマレーシアはマレー系65%、中国系25%、インド系7%で、マレー系イスラム教徒を優遇するマハティール政策の功罪などが紹介されてました。

我々が今回行ったマレーシア・ボルネオ(サラワク州とサバ州)では、さらにマレー系の中でも、マレー半島から来た人たちと、イバン族をはじめとするボルネオに先住していた多くの民族との複雑な関係もあるようです。
統一国家として様々な民族とその文化を守りながら発展を続けるというのは、我々が想像する以上に困難で複雑な道程であることが、現地に行くとある程度はわかります。

サトゥ・マレーシア(マレーシアはひとつ)というスローガンのもと、様々な施策が展開されているようですが、それで豊かさを共有することが、一方で民族の文化や生活様式を消し去っていく方向に向いているような気もしました。
日本でも高度成長期以降、伝統的な生活が大きく変わり、豊かにはなったものの失ったものも多く、自然との関わりや食生活をはじめ見直そうとしても、すでに多くが滅びてしまい後戻りもできません。

もともと古くから多くの民族が移り住んできたボルネオ島ですが、ここ数十年の変化は生活を変え、環境そのものも変えようとしています。
多様な生態系を有し、その恩恵とともに暮らしてきたボルネオ島の人たちにとって、どのような変化が自分たちにとって必要なのか、真に豊かになるためには何を捨て、何を受け入れるべきなのか、政府からの支援や国際的な支援は、どんな方向で、どんな手法でなすべきなのか・・・
彼らにとっても我々にとっても、今まさに選択を迫られているのではないでしょうか。

毎回のことですが植林ボランティアツアーに行くと、自分が何をしてきたか、これから何ができるか、あらためて考えさせられる次第です。

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