セピロクのオランウータン・リハビリテーションセンターを後にした御一行、まずはキナバタンガン川沿いにあるエコツーリズムの拠点、スカウ村を目指します。
サンダカンからスカウまで134km、バスで約2時間半の行程なんですが・・・

セピロクを過ぎると、道路の右も左も前も後ろも、見渡す限り・・・
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ほとんどがアブラヤシのプランテーション、たまに胡椒の畑やその他の農地・・・
といった状況で熱帯雨林特有の高木などは見渡す限り一本もありませんでした。

アブラヤシはアフリカ原産ですが、人類にとって有用な植物で地元に富をもたらすのも事実、とはいうものの、ここまで徹底すれば熱帯雨林本来の生態系は破壊され、ゾウや「森の人」が暮らしていけなくなるのは当然、これまでにも何度か書いたように、たとえ部分的にでも本来の生態系を回復して保護し、その中で地元にも富をもたらす、本来あった有用な植物も育てて、それを活用して豊かになっていくという「持続可能な林業」にも徐々に転換していく時期だと思うのですが・・・

この延々と続くプランテーションを見てると、いかに「手っ取り早い発展(開発)」は急激に進むことか、いかに「持続可能な発展」は困難で遅々として進んでいないか、ということが実感されましたが、今のうちに一部でも転換しないと、もう取り返しのつかないところまで来ているのは事実であります。

植えるのは、本来あった植物の中でも、カポールなど有用な(高く売れる)樹種が中心でいいと思います。ただし、それ以外の樹種も、同時にある程度植えておかないと熱帯雨林の生態系が再生しませんし、有用な樹種自身も育たないので、地元合意のうえでの規制と誘導、それに世界中からの支援も必要でしょう。

で、もうひとつの方策が観光資源としての活用、これは今回我々が向かっているスカウ村などで、エコツーリズムというかたちで発展してきており、実際にはどうなってるのか、こちらは楽しみであります。
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スカウ村はキナバタンガン川の河口から約60km上流の地点、サンダカンから134kmの陸路は左岸にしかないので、ここから右岸上流にあるロッジまではボートで向かいます。

このあたり、少し前までは陸路は全くなく、舟運が唯一だったんですが、アブラヤシのプランテーションにより最近になって寸断された連続性のない道は、じつは無数にできているのであります。

アブラヤシは、実を採ってから24時間以内に工場で油を搾らないと品質が極端に落ちるそうで、奥地からの素早い運び出しには道は不可欠、ところがこの道は、あくまで各プランテーションから各工場へアブラヤシを運ぶためだけの私道で、舗装も環境への配慮も計画性も、まったくないもの・・・そのごく一部を自治体などが細々とつないで、拡幅、舗装したものが公道となっているようであります。

機会があれば、一度グーグルマップなどの空撮画像を見ていただきたいのですが、川岸の一部を除くこの一帯、あちこちに碁盤目状などの細い道と、そこから途中まで伸びて寸断された細い道が無数に見えますが、これらはすべてアブラヤシのプランテーションと、そのための道なのであります。そこに熱帯雨林はもはや存在せず、住んでいたゾウさんは嫌われ、ウータンくんはいなくなったのであります。

我々は川岸に残された森(二次林も多いそうですが)を眺めながら、ロッジを目指します。
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この時点で時刻は午後6時、大河を遡上してるのに夕陽に向かう、とゆーのは、京阪神に住む人間にとってはなんとも不思議な感覚なのですが、この後しばらくして、川は南に90度、「キュっと」曲がります

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ロッジの船着き場。二艇に分乗してるので、先発組はすでに到着しています。

この船着き場は二階建てですが、グーグルマップで増水時の画像を見ると、下半分は完全に水没してました。よく見ると階段の途中に、何段階かの着岸用の踊り場があるのがおわかりだと思います。

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さすがにロッジ本体は、かなり高い位置にありました。
ちなみにブキット・メラピはメラピ村、スカウ村の古い地名だとか・・・
PROBOSCISは、このあたりに多く見られるテングザルだそうです。

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ロッジの管理棟とゆーか、本館であります。

で、こちらが・・・
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二人用ロッジの内部・・・あとは水洗トイレ兼シャワールームと箪笥・テーブルがあるだけで残念ながら冷蔵庫はありませんが、なんとエアコンが効いてました。

で、奥の扉を開けると・・・
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こちらバルコニーの上流側であります。


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こちらが下流側で、樹間から本館とキナバタンガン川の川面が見えます。

わたくしのロッジ、本館から一番近いロッジで、これはわたくしが泥酔しても、何とかたどり着けるように配慮して・・・いやいや、わたくしが夜な夜な、ライトなんぞを持って彷徨しないにように監視するためかも・・・

いやあ、このバルコニーでちめたいビールを傾けながら、まどろむとゆーのもなかなかよさそう・・・でも冷蔵庫がないな・・・そうか、本館でちめたいのを買ってきて・・・でもそれなら本館のカウンターで・・・あちらの雰囲気もなかなかよかったな・・・どっちにしようかな・・・じゅるじゅるじゅる

ま、とりあえずは・・・
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本館に集合して・・・

夕食であります・・・じゅるじゅる
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ちなみに今回の撮影では、殆どストロボを焚いてないのですが、さすがに明るいレンズとセンサー、手持ちでもそれなりに撮れるのはうれしかったですね。ま、オートホワイトバランスはイマイチのようですが・・・

さらにちなみに、ここでは不思議と蚊は殆どいなかったんですが、夕方のひと時だけは飛んでましたし蠅も昼の食事時だけ集まってました。まあ、巨大なカブトムシみたいな昆虫はブンブン飛んでましたが・・・

で、夕食後は勉強会であります。

90'年代、中国・内蒙古自治区・クブチ沙漠での植林の際には、故・遠山正瑛先生が「沙漠講座」と題した勉強会を毎晩やってくれてたのですが、旅の疲れと植林の疲れ、夕食の満腹感とビールや白酒(パイチュー)の酔いで毎晩、夢うつつで名調子のお話を聴いていたものであります・・・
いやあ、じつに懐かしいなあ・・・
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今回サバ州側でお世話になった(サラワク側でお世話になった現地旅行社N氏とは別人の)旅行社社長のN氏、わざわざ東京からお越しとのことでエコツーリズム事情や開発の現状などを熱心に話して下さいました。

で、我が隊からは・・・
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右から隊長のT氏、植物がご専門のN氏、土壌がご専門のI氏、それぞれのお話があったのですが、みなさん熱心で話が盛り上がって、最後になったN氏のお話が時間切れで聴けなかったのが残念でした。

なにせ翌朝は午前五時起床の六時出発という早朝クルーズから、朝食後は子どもたちとの植林と交流会に出発、その後は夕方のクルーズで、さらに希望者はナイトクルーズ!!!とゆーハードスケジュールですから・・・

そう、この夜はみなさん早目にロッジに戻って早めに就寝・・・
ま、わたくしはですね、自室に戻ってからはバルコニーに出たりして・・・
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夜のジャングル宴会じゃあ!!!・・・むひひひ

そう、バスで移動中のトイレ休憩の際に、お安いスーパーでやっと見つけたのでありますね・・・
ま、部屋に冷蔵庫がなく、ベッド上でエアコンの風でしか冷やせなかったのは残念でしたが・・・
と、この夜もずっと飲んでてすっかり遅くなり、翌日、朦朧とした朝を迎えることになりました・・・

(次号に続きます。)