ボルネオ島植林ツアーも二日目の午後になって、ようやくサラワク州クチン市の近郊にある(ま、近郊といってもバスで2時間ですが・・・)サバル森林保護区の植林予定地に到着、記念撮影も終え、隊員一人につき現地の子どもたち数名が一緒になっての植林作業であります。

今回の参加隊員は17名、体調不良で参加できなかった代表の分も含め18列の植林地が整備されてました。
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こちらがわたくしの担当列、一列につき20本のエンカバン(沙羅の木)やカポール(ラワン)の苗木を植えます。
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で、今回、わたくしの列を一緒になって植えてくれた現地の子どもたち・・・
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今回は一部の保護者の方も同行してくれました。

右の黄色いベストは森林局のスタッフ・・・わたくしの列が心配なのかっ・・・
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ちなみにジョウロを持った子は新聞折り紙の兜をずっと被ってくれてました。

ご覧のとおり、各列の下草を刈り、等間隔に穴を掘り、目印の棒を立て、苗木まで並べてくれてるので、我々は苗木の黒いビニールを剥がし、少量の肥料とともに穴に入れて埋め戻し、気持ちだけ水を撒いて、終了済の目印として黒いビニールを突き刺すだけなんですが(ただし雨の少ないモンゴルや中国北西部と異なり浸水で根腐れないよう、しっかり踏み固めておく必要はありますが)、それまでに森林局はじめ学校関係者や保護者の方々が何週間もかけて、こんな下準備をしてくれてたのであります。

18列×20本で360本、しかも奥地の半分ほどは前もって植えてくれてますので、当日の植林作業そのものはセレモニーといえばセレモニー、合計1000本以上の今回植林の大部分は、現地の人々に委ねてますが、日本から来た人たちと一緒に木を植えたという子どもたちの体験は「木を育てる心を育てる。」という、我々の隊の目的には欠かせないもの・・・と信じて、こんなスタイルに拘っているのであります。

ご覧のとおり、このあたりには樹高数十メートルというような高木は一本もありません。
いわゆる「昼なお暗きボルネオのジャングル」といったイメージとはまったく異なるのがおわかりと思いますが、本来の熱帯雨林の生態系は変化して、すっかり明るく開けた感じになっています。

三年半前の記事でも書きましたが、ボルネオ島の熱帯雨林では、たとえばフタバガキ科のカポールは条件さえよければ僅か80年で高さ80mに成長します。
それが一本もないということは、この80年間ひたすら高い木を切り続けて植えなかったということで、最近になってようやく、ごく一部ですが植林がはじまっている・・・とゆー状況なのであります。

ボルネオの熱帯雨林の生態系は、もともとカポールのような高木の樹冠部を頂点として徐々に光が遮られ、地表では殆ど陽が差さない環境、で、それぞれの高さに応じて、生態系が上下に拡がっています。ですから高い木だけを伐採しても生態系そのものが変わってしまい、やがて薄い表土が大量の雨で流れ出し陸地は不毛の大地に、そして川や海岸線は泥で埋まってしまいます。

アマゾンの熱帯雨林もですが、その回復や荒地化の防止には何種類もの植物を同時に育てる必要がありますが、完全に荒地化してしまってからの回復は困難でしょう・・・
もちろん、高木の伐採以外でも、大規模な焼き畑や農地化、アブラヤシなどの大規模プランテーション、海岸線や汽水域でのマングローブ林の大規模養殖池化などによっても生態系は大きく変わりますが、アブラヤシをはじめとする有用な植物などによって、ボルネオ島の人々だけでなく我々日本人も、その恩恵を大きく受けているわけで、それを全てもとに戻せ、などということもできません。

やはり「持続可能な発展」と「生態系の維持」とは密接な関係があるわけですから、どこで折り合いをつけるか、たとえば有用な植物も植えて循環活用する、すべてをアブラヤシのプランテーションや海老の養殖池にせず、本来の生態系が維持できる程度に一部を回復・保護する、といったことから、過度な(持続不可能な)焼き畑や農地化は規制したうえで、本来の植物資源や観光資源(エコツーリズムなど)の活用をはかる「持続可能な林業や観光産業への転換」といったことも考えるべきでしょうし、我々も恩恵を受けている者として、できる限り支援すべきだと思うのですが、これらの転換や支援には現地の人たちが子どもたちに残す財産として、将来的な損得勘定も含めて納得できるようなやり方が必要不可欠でしょう。

とか、えらそうなことを書きましたが、現地ではコツを飲み込んだ子どもたちが・・・
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ずっと向こうまで、先に行ってしまいました・・・

ちなみに隣の列でも・・・
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同じ状況のようでした・・・

で、まあなんとか、帰り道の子どもたちと合流し、もとの場所に戻ってきて・・・
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わたくし一人で植えたみたいに写るよう、記念撮影をしてもらったり・・・

駆けつけてくれたサラワク州森林局の副部長さんと、英語風大阪弁でダベったり・・・
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って、副部長さん、わたくしと同じXLサイズのTシャツも無理だったようですね・・・
(このタープもスコールや日よけ対策として、この日のためだけに用意してくれたもの。)

とか、まったりやってると、
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最後まで植えてた子どもたちも戻ってきて、全員が集合し・・・


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みんなでお見送りをしてくれました。

バスが動き出しても、ずっと手を振り続けてくれる子どもたち・・・
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ありがとね、ティリマカシー!!! 

いつかまた会おうね、ジュンパラギ!!!


(次号に続きます。)