「N.GKS(エヌ・ジクス)」の主宰者・澤井代表の評伝が出版されます。
アッと驚く! 90歳 ー実録「澤井敏郎」評伝ー 藤本 博 著
産経新聞生活情報センター 2021年5月8日第1刷発行
ISBN 978-4-909053-09-1
表紙カバー
表紙写真は澤井代表が昔からお得意の「生たまご立て」・・・
裏表紙カバー
こちらは植林活動の原点となった中国西北部・内モンゴル自治区・クブチ沙漠
・・・と、右上はお得意のスプーン曲げ・・・
ともかく常識をひっくり返すことが大好きです
著者は京都・洛南地域の地方紙記者として、30年にわたり澤井代表を取材してきた方で、2018年に退職後は、洛南の歴史遺産ではなく洛南の今を生きる人物遺産を克明に記録して、地域に遺すことをライフワークにされてるとのことでした。(あとがきにかえてより)
構成としては澤井代表が退職後にはじめた「沙漠・熱帯雨林緑化活動編」は本編の2割程度で、軍国少年だった少年時代、競技かるたに明け暮れた学生時代、連珠や切手収集など他の趣味についても書かれてますが、本編の約半分を割いていたのは、やはり現役時代・・・
そう、昭和の高度成長期に企業戦士として戦い続けてきた生き様が克明に描かれてました。
例えば澤井代表が1954年の就職時に役員から提示された勤務条件・・・
①休日は月1日、年間350日出勤
②月給税込み1万円、残業など手当は一切なし
③月3~4回の徹夜勤務
というもの・・・
これが当時の成長産業としては、特に並外れたものではなかったそうで、まさに戦後経済発展の原動力は「人力」だったんですね。
もちろん現役時代の「アッと驚く」エピソード以外にも、遠山正瑛翁との運命の出会いなど植林ボランティア活動での様々なエピソードも満載でした。
特に著者が絶句したのが2009年のアマゾン植林ツアー(わたくしは仕事の都合がつかず不参加)だったそうで、出発4日前の「もらい事故」で右上腕部と左母指付根を骨折する重傷を負い、緊急手術して入院しなければ一生動かなくなる可能性があると宣告されたにもかかわらず、ギプス固定だけして車椅子で出発したというエピソードで、「この人は尋常の人間ではない」とさえ思ったとのこと・・・
すでに綿密な現地との調整も終えベテランの幹部やツアコンも参加するので、わたくしも含め周囲からも手術入院を勧めたのですが頑として拒否、見送りに行った空港で「せめて現地では無理をしないように」と忠告したら「無理をしないと目的は達成できない」と返ってきましたからねえ・・・
まさに昭和の企業戦士の生き様ですね。
本著は本人が残している膨大な資料と記憶を約2年かけ取材して丹念に検証、さらに取捨選択して著者の思いも含め、まとめられた評伝で、とても要約などはできませんが、全体の読後感だけ・・・
戦中の幼少期から戦後の混乱期を経験し、高度成長期に企業戦士として戦い抜いた世代には、それぞれに波乱万丈の人生があったでしょうが、わたくしとほぼ同世代の著者からみても、澤井代表の生き方というのは、やはり驚きだったようで、本のタイトルにもあるとおり、全編が驚きの眼をもって捉えられており、それが新鮮な視点で最後まで飽きませんでした。
入念な取材に基づいた一般には知り得ない事実もあって、構成も文章も馴染みやすく著者の思いも伝わってきて興味深く読めました。
さすがベテラン記者の著作ですね。
ちなみにAmazonでも取り扱うようですので、興味のある方はご一読を・・・
(N.GKS会員など関係者には澤井代表から直接郵送するとのことでしたが、1ヶ月たっても届かず、読んでみたい方はご一報ください。)