ひさしぶりの記事更新・・・
瀕死の林業という特集の紹介です
月刊誌「Wedgeウェッジ」2023年6月号の特集記事
この特集部分の目次
例によって、てきとーな読後メモで思い違いもあり、図表なども紹介してませんので
興味を持たれた方は本書をしっかり読んでくださいね
まずは編集部による現状つーか問題提起より
・4/14の花粉症に関する関係閣僚会議でスギの伐採加速化も掲げられた
(日本の林業・林政はこうした政治発言に左右されてきた歴史がある)
→林業の成長産業化+カーボンニュートラルの潮流
・生産量や自給率など統計上の数値は改善しているが現場は全く違う
→成長産業化の結果は供給過多による価格低下→3割しか再造林できていない
→総額3000億の補助金の活用方法の再検討が必要
→今は補助金獲得自体が目的になっている
・目先の成長を追い求め「持続可能な森林管理」に逆行している
→まさに「木を見て森を見ず」そのものの林政
・現場では森林所有者、森林組合、製材加工業者などに新しい取り組みを
始める改革者もいる
・瀕死の林業を再生する処方箋とは・・・
Part1より
・森林の持つ防災機能からも森林再生がいわれるが異常降雨時には森林も被害者になる
→日本の森林再生はすでに達成している
→いっぽうで日本の林業は受け皿がなく瀕死の状態にある
→林業再生は矛盾だらけで行政優先・机上論理優先で科学や技術は軽視
・費用対効果を軽視してはいけない
→日本の人工造成林は費用対効果が著しく悪い
→伐採跡を植林しない天然更新や植林しても自然木の侵入を許すなどへ移行すべき
→50年後のスギ・ヒノキの価値など分からないのだから多様な品揃えにしておくこと
→補助金と事業の硬直化により、この多様性が失われている
・間伐で森林の価値を下げるケースもある
→無間伐のメリット、間伐のデメリット(略)
→価格低下により標準齢で伐採されないことは森林にはいいことだが行政が許さない
→これが森林経営者の自由度を阻害し森林機能と商品価値の低下にも繋がる
・森林を温存し「待ち」に徹すること
→すでに再生された森林を持続させること→商品価値がないなら無理に伐採しない
→森林の温存は様々な国家リスクへの備えになるので、そのための補助金に
→経営者の自由度を尊重し森林の多様性を支援する(利益が見込めれば伐採)
→林道など基盤設備の整備も必要
→国民への教育、技術者や行政官の現場経験の充実も・・・
Part2より
・宮崎市における盗伐の実態
→被害者は全国1000世帯を超え伐採跡では土砂崩れも
→小規模な偽造伐採届が自治体に受理されると、その何十倍も伐採する
→合法伐採でも再造林が進んでいない
・林野庁の「林業の成長産業化」により自給率は増えたが増産要請で盗伐も増えた
→木材総需要は縮んでいる→経済的に林業が成長しているとはいい難い
→安い合板用や燃料用(バイオマス発電用)が増え、製材価格は抑えられている
→中国に輸出されるのは安価な丸太ばかりで「日本の木材は世界一安いから買う」
→木造建築(CLT直交集成板)が推進されているが鉄筋コンクリートより高い→値下げ圧力
→合板用や燃料用は所有者(山元)への還元が少ない用途のため再造林が進まない
→木材利用を推進すればするほど、はげ山が増える構造
・建築材需要の減少は人口減少と高齢化による(住宅着工件数はピーク時の半分)
・この40年間、価格が下がるたびに所有者(山元)の利益を削ることで対応してきた
(ウッドショックで高騰したのは製材価格で原木価格はさほど上がっていない)
→さらにコスト上昇、大量伐採、作業道敷設、危険作業・・・経営の持続が危ない
→今はウッドショック終息により再び山元への値下げ圧力へ
・産出額より補助金の方が多い林業が「成長産業になった」といえるのか
・1990年代から丸太なら国産材の方が外材より安くなったが製材なら逆のケースも多い
→外材は供給量、品質、流通を商社がしっかり管理し商品アイテムも豊富
→国産材は多くの事業者が関わり相互の情報が伝わらず疑心暗鬼、ロスが多く責任も持てない
→乾燥材は国産材出荷量の3割、外材では8割以上→ここでも差がつく
・盗伐、過剰伐採、再造林放棄の問題とは反対の放置林の問題
→相続人不明、名義人多数の共有林、進まない民有林の地籍調査→放置→災害
・目先の都合だけの政策では経営も持続もできず環境保全も不可能・・・
林野庁森林整備部計画課長へのインタビューより
・供給量拡大への取り組み
→戦後や高度成長期に植えた人工林が成熟して利用可能になった
→木材利用はカーボンニュートラルにも貢献すると認識され、需要拡大策も功を奏した
→ただし販売収入が少なく、重労働を要する再造林をしないなど課題も多い
・収支面での取り組み
→高性能機械の導入、労働削減技術の開発実証、花粉量半分で成長1.5倍のエリートツリー
・最終価格の2%しか山元に還元されない仕組みや価格への取り組み
→原木を製材用、合板用、チップ用と仕分けして供給することが重要
→製材技術開発、フル活用に向けた事業者連携、持続可能なサプライチェーンの構築で再造林に
→昨年6月に林業木材産業関係団体が共同で宣言を出した→業界の意識も変わりつつある
・伐採のための補助金のあり方について
→間伐への補助はあるが目的は森林の健全性を保ち公益的機能を発揮させるため
→皆伐への補助はない
→国際商品の価格は海外を含む需給関係で決定されるので補助金の影響はない
→需要無視の伐採は好ましくないので需給情報を公表している
→レーザー航測技術を使って林業適地を見定め関係者で共有することも進めたい
Part3より
・1980年代以降の世界的潮流は「持続可能な森林管理」
→95年のモントリオール・プロセスには日本を含む12ヶ国が参加→日本は逆行している
・戦後の林政の振り返り
→戦争で荒廃した天然林の伐採跡や原野を人工林に置き換える拡大造林政策
→高度成長期には林業振興で森林の公益的機能も発揮できるという「予定調和論」へ
→これには丁寧で集約的な技術が要求されるが外材輸入による価格低迷で技術基盤が崩壊した
→2001年の法改正では「持続可能な森林管理」が検討されたが最終的には予定調和論に
→補助金を投入した工場の大型化の結果、大量安価な供給が必要になった
→2011年には温暖化防止ロジックで短伐期皆伐再造林施策へ→真の目的は大量安価な供給
→2016年には林業の成長産業化
→2021年には「グリーン成長を新しい林業で実現させる」
→転換に見せかけた成長産業化の継承強化で「持続可能な森林管理」とは相反するもの
・森林管理には科学的理論が根底にあるべき
→地域ごとに生産林と環境林に分け目標林型に応じて短伐期皆伐を選択するなら理解できる
→ところが施策は全国一律
・「持続可能な森林管理」を基本にした森林法制への転換が不可欠
→林業は特殊な条件下でしか成り立たないことが前提
→地域(山村)政策、環境政策としてEUの農業政策のような所得補償
(条件不利地域論・デカップリング論の取り込み、入林権の保証など国民的な議論で)
Part4より
・速水林業はFSC森林認証を日本で初めて取得した環境保全型林業
→1070㌶東京ドーム228個分
→最新外国製重機の修理やメンテナンスも自社で行う
→人材、道路網の密度、再造林と育林、苗木が揃わなければ林業は成り立たない
→2010年以降、専業事業者が売却・離脱している
→国の施策(環境保全)で間伐が加速し供給過多で立木価格が大きく低下
→安くても売れるうちに売り、植えなければいいという発想
→今は森林資源が持続できるかどうかの瀬戸際に
→補助金でしか変われない林業から脱却すべき
→誰がどう管理しどう利用されるか分からない数十年、数百年先の理想の森林を思い描き、
そこに向かって今できる限りのことを真面目にやる、それが面白くなければ林業は面白くない
Part5より
・銘建工業は構造用集成材のトップメーカー
→CLT直交集成板を日本に紹介し初めて建築物を建てた→鉄筋コンクリートより軽い
→日本の規制は厳しくコストが高くなり年間使用量は欧州の1/100で工場稼働率は低い
→フィンランドやスウェーデンでは時間をかけたインフラ整備で林業の生産性を上げた
→地元の真庭市にはバイオマス発電所がある
→チップだけでなく街路樹の剪定枝まで集まる仕組みができている
→林業もそれぞれの地域でビジョンを持つことが大事になる
Part6より
・皆伐された山林の7割は木を植えず放置されている
・大分県の佐伯森林組合では100%再造林している
→国・県・市の再造林補助金で88%はカバーできるが残りは関係者の基金で苗の生産も組合
→再造林の直営は15人で請負は115人、請負には年収1000万を超えるメンバーが4,5人いる
→5年間は同じ山を世話するので愛着も責任も感じるし山元も信頼する
→所有形態が細分化しているので結果的に皆伐にならずモザイク状に分散し生態系維持にも
・大分県のうすき林業では混交林の択伐を行っている
→皆伐と再造林の林業を続けるのはきついし自分の代でサイクルが循環しない
→専門家と話して防火帯の雑木を残すと自然に混合林になり択伐方式にしている
→混交林つくりは難しく何を植えて何を伐るか、間伐コントロールなど試行錯誤の連続
→現在はスギとヒノキだけの出材だが、いずれ高価な広葉樹も出したいと商品化を模索中
・所有者不明土地や放棄林の問題→少しずつ進めるしかない
→相続時不動産登記の義務化と国庫帰属制度
→植林育林会社や木材会社による買取サービスなど
・林業に重要なのは時間感覚
→一般の経済活動とは異なるスパンが必要
→吉野の山林王・土倉庄三郎のような思慮と覚悟で林業が展開されることを願う・・・
Part7より
・伊佐ホームズは2017年に森林パートナーズを設立した
→住宅を建てる際のサプライチェーンを構成する事業者が株主となり出資・参画する
→流通連携による林業の収益化
→透明性の確保→信頼関係→付加価値→山元にも還元→森林を守り続ける
→工務店が山元から直接購入→詳細な木材情報を事業者全体で共有
→全てのデータがオープンなのでコスト・納期・在庫などが明確になりメリットが多い
→事業者間の透明性と信頼関係は住宅購入者にも大きな価値となる
・大型パネル工法
→1980年に93万人だった大工は2020年には30万人に、しかも60歳以上が40%を超えた
→耐震性や防火性、調湿性などの性能強化で建築部品の複雑化・重量化も進んだ
→大工の労働時間の半分以上は梱包外し、採寸、仕分けなどで現場作業は危険も多い
→大型パネルなら本来の仕事である造作や仕上げに集中でき人手不足解消にもなる
・大型パネル工法開発者の話
→いかに森林資源と生活者、需要があるエリアと供給可能なエリアを最適な線で結べるか
→究極には林業をクラスター(圧縮統合)させ地域ごとのサプライチェーンを多数構築すること
→大規模化などの成長一辺倒ではなく、徹底的に持続することを目指す
→着実な持続こそ、結果として大成長につながる
さらに・・・
→これまでの木材はエンジンだけで売ってきたようなもの
→付加価値をつけて自動車として売ること
→我々は良質な木材を使いサッシや断熱材も付けた大型パネルという建築物として売っている
→生活者目線で主語を木材ではなく建築にし生活産業の一員として事業を行っている
云々・・・
と、確かに改革者の動きも一部にはあるようですが・・・
さてさて、部外者にできることはなんでしょう・・・
瀕死の林業という特集の紹介です
月刊誌「Wedgeウェッジ」2023年6月号の特集記事
この特集部分の目次
例によって、てきとーな読後メモで思い違いもあり、図表なども紹介してませんので
興味を持たれた方は本書をしっかり読んでくださいね
まずは編集部による現状つーか問題提起より
・4/14の花粉症に関する関係閣僚会議でスギの伐採加速化も掲げられた
(日本の林業・林政はこうした政治発言に左右されてきた歴史がある)
→林業の成長産業化+カーボンニュートラルの潮流
・生産量や自給率など統計上の数値は改善しているが現場は全く違う
→成長産業化の結果は供給過多による価格低下→3割しか再造林できていない
→総額3000億の補助金の活用方法の再検討が必要
→今は補助金獲得自体が目的になっている
・目先の成長を追い求め「持続可能な森林管理」に逆行している
→まさに「木を見て森を見ず」そのものの林政
・現場では森林所有者、森林組合、製材加工業者などに新しい取り組みを
始める改革者もいる
・瀕死の林業を再生する処方箋とは・・・
Part1より
・森林の持つ防災機能からも森林再生がいわれるが異常降雨時には森林も被害者になる
→日本の森林再生はすでに達成している
→いっぽうで日本の林業は受け皿がなく瀕死の状態にある
→林業再生は矛盾だらけで行政優先・机上論理優先で科学や技術は軽視
・費用対効果を軽視してはいけない
→日本の人工造成林は費用対効果が著しく悪い
→伐採跡を植林しない天然更新や植林しても自然木の侵入を許すなどへ移行すべき
→50年後のスギ・ヒノキの価値など分からないのだから多様な品揃えにしておくこと
→補助金と事業の硬直化により、この多様性が失われている
・間伐で森林の価値を下げるケースもある
→無間伐のメリット、間伐のデメリット(略)
→価格低下により標準齢で伐採されないことは森林にはいいことだが行政が許さない
→これが森林経営者の自由度を阻害し森林機能と商品価値の低下にも繋がる
・森林を温存し「待ち」に徹すること
→すでに再生された森林を持続させること→商品価値がないなら無理に伐採しない
→森林の温存は様々な国家リスクへの備えになるので、そのための補助金に
→経営者の自由度を尊重し森林の多様性を支援する(利益が見込めれば伐採)
→林道など基盤設備の整備も必要
→国民への教育、技術者や行政官の現場経験の充実も・・・
Part2より
・宮崎市における盗伐の実態
→被害者は全国1000世帯を超え伐採跡では土砂崩れも
→小規模な偽造伐採届が自治体に受理されると、その何十倍も伐採する
→合法伐採でも再造林が進んでいない
・林野庁の「林業の成長産業化」により自給率は増えたが増産要請で盗伐も増えた
→木材総需要は縮んでいる→経済的に林業が成長しているとはいい難い
→安い合板用や燃料用(バイオマス発電用)が増え、製材価格は抑えられている
→中国に輸出されるのは安価な丸太ばかりで「日本の木材は世界一安いから買う」
→木造建築(CLT直交集成板)が推進されているが鉄筋コンクリートより高い→値下げ圧力
→合板用や燃料用は所有者(山元)への還元が少ない用途のため再造林が進まない
→木材利用を推進すればするほど、はげ山が増える構造
・建築材需要の減少は人口減少と高齢化による(住宅着工件数はピーク時の半分)
・この40年間、価格が下がるたびに所有者(山元)の利益を削ることで対応してきた
(ウッドショックで高騰したのは製材価格で原木価格はさほど上がっていない)
→さらにコスト上昇、大量伐採、作業道敷設、危険作業・・・経営の持続が危ない
→今はウッドショック終息により再び山元への値下げ圧力へ
・産出額より補助金の方が多い林業が「成長産業になった」といえるのか
・1990年代から丸太なら国産材の方が外材より安くなったが製材なら逆のケースも多い
→外材は供給量、品質、流通を商社がしっかり管理し商品アイテムも豊富
→国産材は多くの事業者が関わり相互の情報が伝わらず疑心暗鬼、ロスが多く責任も持てない
→乾燥材は国産材出荷量の3割、外材では8割以上→ここでも差がつく
・盗伐、過剰伐採、再造林放棄の問題とは反対の放置林の問題
→相続人不明、名義人多数の共有林、進まない民有林の地籍調査→放置→災害
・目先の都合だけの政策では経営も持続もできず環境保全も不可能・・・
林野庁森林整備部計画課長へのインタビューより
・供給量拡大への取り組み
→戦後や高度成長期に植えた人工林が成熟して利用可能になった
→木材利用はカーボンニュートラルにも貢献すると認識され、需要拡大策も功を奏した
→ただし販売収入が少なく、重労働を要する再造林をしないなど課題も多い
・収支面での取り組み
→高性能機械の導入、労働削減技術の開発実証、花粉量半分で成長1.5倍のエリートツリー
・最終価格の2%しか山元に還元されない仕組みや価格への取り組み
→原木を製材用、合板用、チップ用と仕分けして供給することが重要
→製材技術開発、フル活用に向けた事業者連携、持続可能なサプライチェーンの構築で再造林に
→昨年6月に林業木材産業関係団体が共同で宣言を出した→業界の意識も変わりつつある
・伐採のための補助金のあり方について
→間伐への補助はあるが目的は森林の健全性を保ち公益的機能を発揮させるため
→皆伐への補助はない
→国際商品の価格は海外を含む需給関係で決定されるので補助金の影響はない
→需要無視の伐採は好ましくないので需給情報を公表している
→レーザー航測技術を使って林業適地を見定め関係者で共有することも進めたい
Part3より
・1980年代以降の世界的潮流は「持続可能な森林管理」
→95年のモントリオール・プロセスには日本を含む12ヶ国が参加→日本は逆行している
・戦後の林政の振り返り
→戦争で荒廃した天然林の伐採跡や原野を人工林に置き換える拡大造林政策
→高度成長期には林業振興で森林の公益的機能も発揮できるという「予定調和論」へ
→これには丁寧で集約的な技術が要求されるが外材輸入による価格低迷で技術基盤が崩壊した
→2001年の法改正では「持続可能な森林管理」が検討されたが最終的には予定調和論に
→補助金を投入した工場の大型化の結果、大量安価な供給が必要になった
→2011年には温暖化防止ロジックで短伐期皆伐再造林施策へ→真の目的は大量安価な供給
→2016年には林業の成長産業化
→2021年には「グリーン成長を新しい林業で実現させる」
→転換に見せかけた成長産業化の継承強化で「持続可能な森林管理」とは相反するもの
・森林管理には科学的理論が根底にあるべき
→地域ごとに生産林と環境林に分け目標林型に応じて短伐期皆伐を選択するなら理解できる
→ところが施策は全国一律
・「持続可能な森林管理」を基本にした森林法制への転換が不可欠
→林業は特殊な条件下でしか成り立たないことが前提
→地域(山村)政策、環境政策としてEUの農業政策のような所得補償
(条件不利地域論・デカップリング論の取り込み、入林権の保証など国民的な議論で)
Part4より
・速水林業はFSC森林認証を日本で初めて取得した環境保全型林業
→1070㌶東京ドーム228個分
→最新外国製重機の修理やメンテナンスも自社で行う
→人材、道路網の密度、再造林と育林、苗木が揃わなければ林業は成り立たない
→2010年以降、専業事業者が売却・離脱している
→国の施策(環境保全)で間伐が加速し供給過多で立木価格が大きく低下
→安くても売れるうちに売り、植えなければいいという発想
→今は森林資源が持続できるかどうかの瀬戸際に
→補助金でしか変われない林業から脱却すべき
→誰がどう管理しどう利用されるか分からない数十年、数百年先の理想の森林を思い描き、
そこに向かって今できる限りのことを真面目にやる、それが面白くなければ林業は面白くない
Part5より
・銘建工業は構造用集成材のトップメーカー
→CLT直交集成板を日本に紹介し初めて建築物を建てた→鉄筋コンクリートより軽い
→日本の規制は厳しくコストが高くなり年間使用量は欧州の1/100で工場稼働率は低い
→フィンランドやスウェーデンでは時間をかけたインフラ整備で林業の生産性を上げた
→地元の真庭市にはバイオマス発電所がある
→チップだけでなく街路樹の剪定枝まで集まる仕組みができている
→林業もそれぞれの地域でビジョンを持つことが大事になる
Part6より
・皆伐された山林の7割は木を植えず放置されている
・大分県の佐伯森林組合では100%再造林している
→国・県・市の再造林補助金で88%はカバーできるが残りは関係者の基金で苗の生産も組合
→再造林の直営は15人で請負は115人、請負には年収1000万を超えるメンバーが4,5人いる
→5年間は同じ山を世話するので愛着も責任も感じるし山元も信頼する
→所有形態が細分化しているので結果的に皆伐にならずモザイク状に分散し生態系維持にも
・大分県のうすき林業では混交林の択伐を行っている
→皆伐と再造林の林業を続けるのはきついし自分の代でサイクルが循環しない
→専門家と話して防火帯の雑木を残すと自然に混合林になり択伐方式にしている
→混交林つくりは難しく何を植えて何を伐るか、間伐コントロールなど試行錯誤の連続
→現在はスギとヒノキだけの出材だが、いずれ高価な広葉樹も出したいと商品化を模索中
・所有者不明土地や放棄林の問題→少しずつ進めるしかない
→相続時不動産登記の義務化と国庫帰属制度
→植林育林会社や木材会社による買取サービスなど
・林業に重要なのは時間感覚
→一般の経済活動とは異なるスパンが必要
→吉野の山林王・土倉庄三郎のような思慮と覚悟で林業が展開されることを願う・・・
Part7より
・伊佐ホームズは2017年に森林パートナーズを設立した
→住宅を建てる際のサプライチェーンを構成する事業者が株主となり出資・参画する
→流通連携による林業の収益化
→透明性の確保→信頼関係→付加価値→山元にも還元→森林を守り続ける
→工務店が山元から直接購入→詳細な木材情報を事業者全体で共有
→全てのデータがオープンなのでコスト・納期・在庫などが明確になりメリットが多い
→事業者間の透明性と信頼関係は住宅購入者にも大きな価値となる
・大型パネル工法
→1980年に93万人だった大工は2020年には30万人に、しかも60歳以上が40%を超えた
→耐震性や防火性、調湿性などの性能強化で建築部品の複雑化・重量化も進んだ
→大工の労働時間の半分以上は梱包外し、採寸、仕分けなどで現場作業は危険も多い
→大型パネルなら本来の仕事である造作や仕上げに集中でき人手不足解消にもなる
・大型パネル工法開発者の話
→いかに森林資源と生活者、需要があるエリアと供給可能なエリアを最適な線で結べるか
→究極には林業をクラスター(圧縮統合)させ地域ごとのサプライチェーンを多数構築すること
→大規模化などの成長一辺倒ではなく、徹底的に持続することを目指す
→着実な持続こそ、結果として大成長につながる
さらに・・・
→これまでの木材はエンジンだけで売ってきたようなもの
→付加価値をつけて自動車として売ること
→我々は良質な木材を使いサッシや断熱材も付けた大型パネルという建築物として売っている
→生活者目線で主語を木材ではなく建築にし生活産業の一員として事業を行っている
云々・・・
と、確かに改革者の動きも一部にはあるようですが・・・
さてさて、部外者にできることはなんでしょう・・・