N.GKS(エヌ・ジクス)のblog

海外での植林ボランティア活動をしていた団体N.GKS(エヌ・ジクス)のブログサイトです。 (2020年8月25日よりURLをhttp://からhttps://に変更しています。)

N.GKS(NGO.Green Keeping and Supporting organization) 日本語名「エヌ・ジクス」は、
1998年に京都で結成された「緑の協力隊・関西澤井隊」を改組した非政府・非営利の植林ボランティア団体で、世界の子どもたちに「木を植え育てる心」をはぐくむことを主な目的として、現地の子どもたちと植林・育林するボランティア・ツアーを2018年まで主催してきました。
記事・画像・資料などのご利用はお気軽にお問い合わせください。

とーとつですが・・・
BCTJカレンダー2022であります。
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そう、Borneo Conservation Trust Japan 認定NPO法人・ボルネオ保全トラスト・ジャパンの2022写真カレンダーで、制作費を除いた売り上げが熱帯雨林の保全活動に使われます。

もちろん写真作品なので、中身までは紹介できませんが・・・
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ボルネオ島サラワク州キナバタンガン川流域を中心にした素晴らしい写真がいっぱいでした!!!

bctjapanで検索、入会せずにカレンダーだけを購入することもできます。
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ええ、わたくしはどどんと2部も・・・
だって送料が同じだったんだもの・・・


BCTJの案内パンフレットも同封されてました。
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エヌ・ジクスとしての活動は現在休眠してますが、キナバタンガン川の流域は再訪したいなあ・・・


mixiチェック

とーとつですが・・・

「生態学は環境問題を解決できるか?」とゆー本のご紹介であります。
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著者 伊勢武史 コーディネーター 磐佐 庸 
共立出版 共立スマートセレクション31 2020年2月15日 初版第1刷発行

例によって目次のみ・・・
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著者は生態学とコンピュータ・シミュレーションの専門家で、研究者としての様々な思いをコーディネーターと共にまとめられたとゆー感じの構成でした。

例によって(専門外のわたくしの)部分的な読後メモから・・・
①人と自然と環境問題
・生態学(エコロジー)は基礎科学で環境学(エンバイロメント・サイエンス)は応用科学
・食生活と共有地の悲劇の例
→村の共有地で育てるウシを増やした家は豊かになるが、どの家もやれば牧草は消滅する。
・家畜のウシ(私有地)とクロマグロ(共有地)の違い
→私有地のウシは需要が増えれば増えるが共有地のクロマグロは需要が増えれば絶滅する。
・ごみ処理の問題や温暖化問題→not in my backyard(NIMBY)の問題
→国際的なルール作りの難しさ(先進国と発展途上国など)
・マングースやカダヤシやクズの例→環境学では「まず行動しよう」は逆効果
・「文明は万能」でも「原始に戻れ」でもなく、文明を享受する一方で、負の側面にも目をつぶらず、時空間的に広い視野で後先を考える。
・生物多様性を高めるために金と労力を使えば一方で環境破壊につながる
→先進国の国立公園整備と発展途上国の熱帯雨林の破壊→トレードオフ
・自然が好きで四駆のクルマで山に入るより部屋に籠ってゲームしてる方がずっとエコ
→クルマの排ガスは家庭のようにごみ袋で回収しないので、ごみの意識が薄い
・クルマや新幹線や飛行機を使って行動しても、あまりある成果を出せばいい
→地球温暖化防止のための会議など
→クルマを使って研究しているが、あまりある成果を出して自然を守るつもり
・浮世離れした牧歌的な研究環境は、日本には存在しないのかもしれない
・自然や生物が好きという素直な気持ちと専門性をうまく活用して、自然や環境保全に役立てるヒントを提供したい

②環境倫理と歴史
・原始時代からの人間の直感や良心では、当時はなかった環境問題を解決するのは難しい
・アメリカの国有林はピンチョーの「ワイズユース」の思想で、国立公園はミューアの「ありのまま保全」の思想で別の環境思想、それで自然管理のバランスをとってきた。
・レオポルドの「人間の良心を人間関係だけでなく自然にも向けて自然からも学ぶ」思想
・ローマクラブの「成長の限界」(1972)から環境問題の歴史がはじまり、まだ僅か50年
→使える価値があるから(未来の人類が困るから)持続可能な利用を考える→ピンチョー
→自然は存在すること自体に価値がある→ミューア
→自分のハートはミューアだが、それだけでは世の中を変えられないので、生態系サービスはお得と伝えている。
・環境問題は実は倫理の問題で文化や宗教の問題にとても近い
→人間中心主義か生物中心主義かでも正しい判断は異なる
・世代間の平等を考えるべきかテクノロジカル・オプティミズムを信じるべきか
→次世代の常温核融合や効率的な太陽光発電などの技術革新で温暖化問題は解決するので今の世代のことだけを考えて石油を使えばいい→火力発電が問題なら原子力発電で・・・といってたのが思い知らされた→未来に笑い話になっても今できることを・・・
・自然保護・環境保全の活動といっても考え方は様々
→人類は子孫を作らず徐々に消滅するべき、原生林の伐採やクジラ漁は例外なく禁止・・・
→一方で役に立つものは将来のために守るが、それ以外は破壊してもいいという考えもある
・人権は公共の福祉に反しない限りという制限付きで、これを自然に与えれば極論ではなくバランスをとって共存できるのではないか。
(役に立たないとされる者も含め)様々な人間が社会で共存しているように・・・

③答えはひとつに決まらない
・環境問題には絶対の正解が存在しないので社会科学や応用科学の視点が必要
→にもかかわらず自然科学の考え方だけで正解を主張する人がいる
・何年前の日本がいいの?
→数万年前なら原生林→自然環境の回復
→江戸時代なら里山→生物多様性の回復
→原生林と里山のどちらがいいかは人間の主観であり自然科学だけで答えは出せない
→どちらも重要としても、どこを原生林に、どこを里山にするかは人間の主観であり、正しい答えは存在しない
→その場所・その時代に合った答えを探すしかないのに、現場では正しいイデオロギー同士がぶつかりあっている。
・担当している天然林は「芦生の原生林」として知られるが昔から木地師が利用していた。
→比較的手つかずであれば原生林として守る価値がゼロになるわけではない。
・ノータッチか人為で人為を打ち消すか?
→すでに地球上には人類の影響が皆無な場所は存在しない
→温暖化・オゾン層破壊・酸性雨などは広範囲で、この影響を逃れた生態系も存在しない
→人間の行動(オオカミの絶滅・過疎化高齢化による狩猟減等)により芦生でもシカが増加
→温暖化や酸性雨同様、広範囲なので芦生だけ減らしても環境変化は止められない
→それでもシカを減らそうとしているが、頭数など人間の主観が入ることは避けられない
・人間利益優先か自然保護優先か
→うまく折り合いをつけるしかなく、芦生研究林ではゾーニングで対応している
→一般ハイキング可能ゾーンとガイド付き限定で入山を最小限に制限した核心ゾーン
→これは京都大学が一元管理しているから可能だったが、白神山地は県境にあり複雑
→観光利用に消極的な秋田県と積極的な青森県→どちらにも一理ある
→別々にビジターセンターを建て異なる方針で管理運営している
・飢え死にすることはないアメリカや日本で伝統捕鯨を認める必要はあるか
・アフリカでのレジャーハンティングは認めるか、食べるための狩猟は認めるか
・弓矢などの伝統的狩猟具と高性能ライフルとはどう違うか
・大型哺乳類のハンティングと魚類のフィッシングはどう違うか
(日本では狩猟はNGだが釣りは家族で楽しむ人も多いが、ライオンを殺すのは素敵な趣味だがウナギを食べるのは野蛮と考える人もいる)
・アフリカでのゾウやライオンのハンティングと日本でのウナギ食とはどう違うか
(ゾウやライオンよりウナギのほうが絶滅の危険性が高いとされている)
・欧米のベジタリアンの考えにもいろいろなタイプとレベルがある
→環境問題では日本人の常識が全てだと考えない方がいいかも知れない。
・近縁種と亜種と地域個体群の違い
→生物多様性の保全には純粋な生物学だけでなく人間の都合がからんでくる
→どこまでの違いを生物多様性として保護すべきか
イノシシ・ツキノワグマ・イリオモテヤマネコ・ツシマヤマネコの例
たとえば同じイノシシでも本州と四国では遺伝的に異なり、同じ四国でも讃岐山脈と四国山地、同じ讃岐山脈でも東側と西側で異なるだろうが、すべての生物個体を保護することは不可能
→同じ絶滅危惧種でもパンダはトガリネズミより保護する価値が高いのか
→自分が保護すべきだと思う生物を保護しているに過ぎない
→WWFのシンボルもパンダで、生物種は平等に存在する価値を持っているのだろうか
・例えばどうやって発電したらいいかをトレードオフで考えると、ローカルな環境を守るか、グローバルな環境を守るかの問題になるが、世界中で使える統一基準など作ることはできないし、ローカルとグローバルは対立しているし、異なる視点を持っていることを理解すべき。
・最適な都市サイズという命題も典型的な「答えがひとつに決まらない問い」

④外来種のおはなし
・化学的汚染は時間経過で濃度が低下していくが外来種による生物的汚染は増殖していく
・外来種の問題もいつの時代に戻すのかという主観の問題でひとつに決まらない
・対策できるものはするが対策できなくなったものは共存を考え在来種の保存対策をする
→医者と同じ現実主義で、まず感染しないよう予防、根治できる段階なら根治を目指す、根治できない段階なら対症療法で共存という三段構え

⑤前向きに何とかしよう
・環境問題には「これさえやれば」はないので楽観的悲観主義で「それでもできることを」と、現実主義者でありながら前向きになって欲しい。
・small is beautiful 吾れ唯足るを知る nudge(つつく)がキーワード
→2017年ノーベル経済学賞のセイラーが提唱し評価されたnudgeの理論を乱暴にまとめると強制や命令ではなく「ちょっとした提案」で、受けるかどうかは自主的に決められる。
その提案に乗った場合の「ちょっとしたインセンティブ(お得なこと)」も用意しておけば、提案する人は、すぐに効果が出なくても少し長い目で見れば、望む方向に人々を導くことができるというもので、著者が池坊とやってる「外来種いけばな」もnudgeのひとつ
・定量的な考え方、数字で考える練習をすると直感でわかるようになる→educated guess
・生態学は自然科学・基礎科学で環境学は自然科学と社会科学の学際的な応用科学
・草原の生物多様性と草原全体の生産性・安定性の関連の例
→生物多様性の冗長性がもたらす生態系の安定
→レジリエンス(システムに変化が生じても回復する能力)がキーワード
・19世紀アイルランドの単一品種ジャガイモ栽培による大飢饉の例
→ジャガイモだけ、しかも生産性の高い単一品種だけに頼っていた。原産地では逆
・特別天然記念物の管轄は文化庁で、絶滅危惧種・希少種リストの管轄は環境省
→カモシカの保護レベルが異なる→生態学は政治にモノを申すべき
・生物学的環境修復の有効性と危険性についても生態学者が警鐘を鳴らすべき
・農耕と牧畜は我慢の連続で、これが本能でなく理性でできるのが人間の特徴

⑥科学者とは・科学とは
・アメリカの大学院の奨学金制度(ハーバードで6年なら数千万円になる)とレベルの高さ
・近年の日本の研究者ポストは有期雇用が多いが、基本的には賛成
→メリットは研究者の流動性が高まる、必死になって研究する
→デメリットは優秀な研究者でもタイミングが悪いと空きポストがなく路頭に迷う不安定さ
・ウソをつかないなど「科学のお作法」は、みんながモラルを守っているという前提
・科学は反論され批判にさらされることで成り立っている→反証可能性
・捏造論文が大量生産されると性善説に立つ科学は壊滅する。
・逆に科学や芸術は捏造や盗作防止のための性悪説に立てば前に進めない

⑦全力で走らねば
「その場にとどまり続けるには全力で走り続けなければならない」鏡の国のアリスより
・ビッグデータの例
最近のデジカメは一枚でも3000×4000ピクセルで1200万×RGBで3600万のデータが入っているビッグデータだが、それが活用できるかどうかは人間次第
→コケ識別のディープラーニングに応用して成功した
→外来植物の識別にも、気候の規則性の検出にも使える・・・
・コンピュータ・シミュレーションは生態系や地球環境の未来予測にも・・・
mixiチェック

ハリナシバチの蜂蜜を求めて神戸の蜜林まで行ってきました・・・
そう、「密林」ではなく「蜜林」なのでありますね・・・

じゃーん
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三密を避けて酸蜜を・・・

つーことで・・・
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wingさんちのご近所にできた蜜林堂さん!!!へ、wingさんち経由で歩いて・・・

ボルネオ島の熱帯雨林で採れるハリナシバチの蜂蜜を中心に扱ってるお店です。
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店主(といっても一人でやっててイベント参加や講演会で不在も多いので、来店には事前確認を、とのことでしたが)の上林さんは、ボルネオ島サラワク州クチンにも2年ほど住んでおられて、その間に撮られた見事な写真集が現在ではウータンの会のサイトにアップされてます。わたくしは、この写真集のアップを機会に上林さんや蜜林堂の存在を知った次第。

ちなみにボルネオ島への植林ボランティアツアーで、これまで何度もお世話になっている現地インサーツアーズのN嶋さんやMRCのT井さんらとも親しくされておられるようで、過日のWAUオンライン・シェア会にも参加されてましたね。
さらに後日のメールでは「いただいたN.GKSの名刺では気づかなかったけど、澤井隊なら現地で何度も聞いて知ってました。」とのことでした。

採集方法によっては熱帯雨林の保護にも繋がり、現地の小規模農家の副収入にもなり、そして身体にいいとされるハリナシバチの蜂蜜に魅せられ、輸入販売のお店を始められたとかで、
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ウツボカズラやラフレシアのグッズ、自作の「擬態クリアファイル」など、蜂蜜以外にもいくつかの商品を扱っておられますが、ネット通販だけではこの蜂蜜の知名度が低いので、ともかく実際に試食してもらうことが先決と、イベント参加などでの試食会とあわせて、こちらの実店舗も開店されたそうです。

確かにわたくしも、今回のお店での試食により、初めて知った味でした。ミツバチの蜂蜜より酸味があり、特有のプロポリス成分が身体にいいとか・・・

ちなみに熱帯雨林のハリナシバチといっても各種が暮らしてて・・・
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同じ花の蜜でもハチの種類によって全く味が異なるそうです。

ま、
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ウツボカズラにもいろんな種類があるようですが・・・

ちなみにハリナシバチ蜂蜜のプロモーションビデオによれば、これまでの巣を壊して採集する方法よりも熱帯雨林の環境にも優しくなり、村人の収入も安定しているとか・・・
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何度も書いてますがボルネオ島の熱帯雨林を考えるには「アブラヤシ農園の開発はダメ」とゆーだけではダメで、わたくしたちも現地の人たちも豊かに暮らしていけることも重要、わたくしは混農林業とエコ・ツーリズムとフェアトレードがキーワードだと思ってますが、この「ポットハニー」つーのも、ひとつの方策かも知れませんね。

つーことで・・・
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左の2種類がボルネオ産だそうで、とりあえず買ってみました。

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ま、ふたつは人から頼まれたもので、わたくしの分は1個ずつでしゅが・・・

で、こちらも人から頼まれてた・・・
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浅草アメシンさんの飴細工「ウツボカズラ」であります。
いやあ、じつによくできてますね・・・

と、楽しくお話を聞かせていただいてから店を出て、夕食にはちと早かったのですが・・・
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ご近所のインド・ネパール料理店で、まずは乾杯!!

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wingさんは日替わりセットでこの日は大根カレー、わたくしはチキンティカ付きのAセットでマトンカレーの辛口を選択・・・ごくごくばくばく

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軽く完食完飲であります。げふっ

神戸も緊急事態宣言が解除され酒類も一部提供されるようになりましたが、二人とはいえ、まだまだ本格宴会解禁!!!とはいえない状況でビールのおかわりも1回だけ・・・
ま、約1名が2回おかわりしてナンまでおかわりしてたような気もしますが・・・

つーことでお腹いっぱいになってから、ふらふらとwingさんち目指して歩きはじめたのですが、わたくしにとっては、じつにひさしぶりの、電車と徒歩での移動の一日・・・
そう、帰路を少し歩くだけで、たちまち下半身の痛みが襲ってきたのであります。
そーいや最近の歩行といえば、自宅でリビングとトイレを往復するぐらい、外出は殆どがママチャリかロードバイクかミニベロで、自転車走行と歩行は全く別の運動だったんですね・・・

やむを得ず、あちこちの公園でwingさんに待ってもらって休憩を繰り返し・・・ひいひい

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すっかり暗くなってから、ようやくwing邸に到着、過去のクレージー・ジャーニーなどを視聴しつつ静養、9時前にようやくお別れして自宅に辿り着いたのは10時半でした。

うーむ、これからはしっかりとハリナシバチの蜂蜜なんぞを食べつつ歩行訓練しないと、次回ボルネオ照射ツアー参加が危ないな・・・ううっ
ま、実施はかなり先になりそうだけど・・・うぐぐぐ

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とーとつですが・・・
「N.GKS(エヌ・ジクス)」の主宰者・澤井代表の評伝が出版されます。
アッと驚く! 90歳 ー実録「澤井敏郎」評伝ー  藤本 博 著
産経新聞生活情報センター 2021年5月8日第1刷発行
ISBN 978-4-909053-09-1

表紙カバー
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表紙写真は澤井代表が昔からお得意の「生たまご立て」・・・


裏表紙カバー
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こちらは植林活動の原点となった中国西北部・内モンゴル自治区・クブチ沙漠
・・・と、右上はお得意のスプーン曲げ・・・
ともかく常識をひっくり返すことが大好きです

著者は京都・洛南地域の地方紙記者として、30年にわたり澤井代表を取材してきた方で、2018年に退職後は、洛南の歴史遺産ではなく洛南の今を生きる人物遺産を克明に記録して、地域に遺すことをライフワークにされてるとのことでした。(あとがきにかえてより)

構成としては澤井代表が退職後にはじめた「沙漠・熱帯雨林緑化活動編」は本編の2割程度で、軍国少年だった少年時代、競技かるたに明け暮れた学生時代、連珠や切手収集など他の趣味についても書かれてますが、本編の約半分を割いていたのは、やはり現役時代・・・

そう、昭和の高度成長期に企業戦士として戦い続けてきた生き様が克明に描かれてました。
例えば澤井代表が1954年の就職時に役員から提示された勤務条件・・・
①休日は月1日、年間350日出勤
②月給税込み1万円、残業など手当は一切なし
③月3~4回の徹夜勤務
というもの・・・
これが当時の成長産業としては、特に並外れたものではなかったそうで、まさに戦後経済発展の原動力は「人力」だったんですね。

もちろん現役時代の「アッと驚く」エピソード以外にも、遠山正瑛翁との運命の出会いなど植林ボランティア活動での様々なエピソードも満載でした。

特に著者が絶句したのが2009年のアマゾン植林ツアー(わたくしは仕事の都合がつかず不参加)だったそうで、出発4日前の「もらい事故」で右上腕部と左母指付根を骨折する重傷を負い、緊急手術して入院しなければ一生動かなくなる可能性があると宣告されたにもかかわらず、ギプス固定だけして車椅子で出発したというエピソードで、「この人は尋常の人間ではない」とさえ思ったとのこと・・・

すでに綿密な現地との調整も終えベテランの幹部やツアコンも参加するので、わたくしも含め周囲からも手術入院を勧めたのですが頑として拒否、見送りに行った空港で「せめて現地では無理をしないように」と忠告したら「無理をしないと目的は達成できない」と返ってきましたからねえ・・・
まさに昭和の企業戦士の生き様ですね。



本著は本人が残している膨大な資料と記憶を約2年かけ取材して丹念に検証、さらに取捨選択して著者の思いも含め、まとめられた評伝で、とても要約などはできませんが、全体の読後感だけ・・・

戦中の幼少期から戦後の混乱期を経験し、高度成長期に企業戦士として戦い抜いた世代には、それぞれに波乱万丈の人生があったでしょうが、わたくしとほぼ同世代の著者からみても、澤井代表の生き方というのは、やはり驚きだったようで、本のタイトルにもあるとおり、全編が驚きの眼をもって捉えられており、それが新鮮な視点で最後まで飽きませんでした。

入念な取材に基づいた一般には知り得ない事実もあって、構成も
文章も馴染みやすく著者の思いも伝わってきて興味深く読めました。
さすがベテラン記者の著作ですね。

ちなみにAmazonでも取り扱うようですので、興味のある方はご一読を・・・
(N.GKS会員など関係者には澤井代表から直接郵送するとのことでしたが、1ヶ月たっても届かず、読んでみたい方はご一報ください。)

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昨日紹介した「林業がつくる日本の森林」(藤森隆郎著)読後メモの続きであります。

図書館への返却期限が迫り余裕がなくなってきたので、さらにさくさくっと・・・
わたくしの思い違いもあると思いますので、ご指摘いただけるとありがたいです。

第2部 問題を解決するために必要なことは何か

1目標とする社会
・食糧自給率が40%、木材自給率が30%という数値は先進国の中では飛びぬけて低い。
・化石資源は有限、原子力は制御とトータルコストに問題があることが大震災で明らかになった。
・太陽と水と二酸化炭素から永遠に生産される植物資源は食糧・資材・エネルギーとして日本に有益
・さらに植物の生育そのものが良好な環境を形成するので、その資源の活用をいかにするか
・災害時への備えにも豊かな森林のストックとそれを利用できるインフラと優れた働き手は必要
→そのためにも日本は自然を生かした林業国家であらねばならないし都市と農山村の交流も必要

2目標とする森林の姿
・正しい知識に基づいて議論することが正しいビジョンと実践には絶対不可欠
・人間にとって好ましい森林は安全性、生産性、弾力性、生物多様性、景観性に優れ、かつ低コスト
→そんな森林は存在せず生産機能と公益的機能のバランスをとるしかない
→そのためには生産林で公益的機能との乖離をいかに抑えるか、小流域レベルで生産林と環境林を
いかに適切に配置するか
・生産林の目標はスギなど生産対象の構成比率が高く、環境林の目標は樹種構成や樹齢などが多様
・この区分は費用対効果に大事で、生産林は育成管理にコストがかかっても収益が高まればいい、
環境林は目標に達すれば特に手を加える必要はない。
→これまでの林業政策は生産と環境の関係があいまいで投じたコストの評価がはっきりしていない。
・生産林は奥山の針葉樹中心の「経済林」と近くの広葉樹中心で農業と一体の「生活林(里山)」に区分。
→森林の管理はこれらの区分に応じて目標林型をはっきりすべき。

3森林についてよく知ること
・生態系とは
→その空間の生物と非生物との間、生物間の物質・エネルギー作用で形成されるシステム
・森林生態系は生産・消費・分解が見事に形成されている持続的な系
→生産林はそこからサービスを得る人為的なバイパスをうまく組み込んでいく間伐などの英知が不可欠
→森林からのサービスを持続的に受けるためには生物多様性の保全と土壌の保全が重要
・森林の構造と機能の関係から、持続可能な森林管理のために目指すべきは「構造の豊かな森林」
→環境林では天然林の保全、天然林への誘導・維持により
→生産林(経済林)では長伐、多間伐、択伐、混交林により、構造を豊かに誘導

4目標林型の求め方
・経済林の生産量を最大にするだけなら(平均成長量が50年で最大の森林なら)50年回転の主伐
→それでは生物多様性、土壌構造、水源涵養などの最も低い期間の繰り返しになる。
→100年以上の周期で間伐を重ね非皆伐の複相林にして回転させ公益的機能との乖離を最小限に
→広葉樹も混ざった混交複相林に持っていければ理想的だが優れた技術者の育成が不可欠
・環境林は大面積、小面積、河川沿いの渓畔林、水辺林など適切に配置

5合意形成のプロセスと科学的根拠
・様々な立場の人たちの合意形成には科学的根拠が必要→所有者は利益、多くの国民は環境保全
・1992年の国連会議で「持続可能な森林管理」がキーワードになりプロセスの基準と指標が示された。
・我が国も加盟しているが行政も森林所有者も一般市民も理解不足→合意形成には不可欠なプロセス

6日本の自然、森林との付き合い方
・林業関係者を含め多くの日本人は、世界の中での日本の森林の特色を知らない。
→グローバル経済の中では、この特色を知り低コストで価値の高い材の生産を考えねばならない。
・日本は世界の温帯の中で最も水分条件に恵まれた国で基本的に林業には有利な国だが、
・植物間の激しい競争がありスギやヒノキの初期保育経費は他の温帯諸国より10倍高い。
→1960年頃までは農山村に労力もあり下草も家畜の餌になったが、
→今では初期保育の頻度を高くする短期皆伐は合わない。
・日本と逆に夏は乾燥、冬は温暖で雨の多い大陸西岸気候のオレゴン州、ワシントン州、ニュージーランド、チリなどは針葉樹に有利で皆伐しても自然更新し、マツ・ツガなどの林業が主要産業になっている。
・ヨーロッパも大陸西岸気候だがオレゴン・ワシントンほど夏に乾燥しないので天然林では
ブナやナラなどの広葉樹とトウヒやモミなどの針葉樹が混交しており、その点は日本に近い。
→ただし更新を妨げるクズなどのつる植物、ササ、シダ、ススキのような手ごわい植生がない。
→なので夏に高温多湿の日本のスギ・ヒノキは天然では決して広がることはない。
・日本は台風や豪雨による攪乱も多く攪乱を好む植物が進化し生物多様性を高くしている。
・さらに日本の地形は殆どが複雑急峻で生物多様性を豊かにする反面、維持管理に高い技術が必要。
・その初期保育経費を少なくするためには長期伐採で間伐収穫を多くすることが有利。
→長期伐採への道を阻んでいるのが相続税で制度改善が望まれる。

7森林を扱う技術者と経営者
・1970年代までは国有林にも現場技術に通じた技官がおり、1980年代までは民間林業家にも優れた
技術者が多かったが、林業不振から所有者の経営意欲が低下、技術者が減った。
・明治以降の日本の近代化で林業を遅れたものとする底流は高度経済成長以降に加速された。
・一方、近代化の手本にしたドイツは工業国で林業国、優れた林業技術者は尊敬されている。
・ヨーロッパ諸国、アメリカ、カナダなどには公のフォレスターが存在するが、日本では林業の専門家と言える公務員はほとんどいなくなり、専門の学校も設立されないままできている。
・日本にも優れた民間の技術者はいるが、それを活かす政策が不十分。
→大阪府の大橋慶三郎氏の例(一度だけ補助金をもらったら創意工夫ができなくなった)
→岐阜県の古川林業の例(歴代経営者の長期伐採ビジョンと技術研鑽)
→長野県のC.W.ニコル氏の例(アファンの森の活動)etc
・欧米のような地域に密着したフォレスター制度があれば彼らの声や技術が反映されるはず。

8自伐林家と集約化
・林業を放棄した小規模森林所有者への対策は急務だが集団化以外の支援の道も必要。
・殆どの森林組合は森林管理や公共事業の下請けと補助金申請代行のみでビジョンがない。
→例外として京都府日吉町森林組合の例→これをモデルとした林野庁の育成研修事業など
・都会育ちで森林で仕事をしたい人は増えており受け皿としての森林組合や林業会社の発展は重要

9林業と木材産業の関係
・国産材は外材に押され非木質材に押され、加工材が増え良質材の価格が下がり、少子化で需要が減り、ストックが高まっているので適正価格で売るためには流通の近代化が必要。
→昔ながらの原木・木材市場では生産者にも消費者にも不利で安定した質の確保にも不安を残す。
→ドイツでは生産計画から材質の管理、販売先のコーディネート、各地連携などもフォレスターが関与
→ヨーロッパの多くの国では大規模製材工場の一方で地域に密着した小規模工場も生き残っている。
・日本では地域の製材工場も工務店も大都市の市場経済に押されている。
→「地域材による家づくり」運動は任意団体と事業協同組合で進められているものが多いが
公的セクターと良い関係を築いて信頼を得ていくことと地域での部材の規格統一が必要。
・消費の多いのは圧倒的に都市部なので大規模工場との取引を増やすのが林業振興のカギ
→買いたたかれるのは複雑な流通システムで安定供給が十分でないから。
→どのような質の材がどのくらい安定供給できるかを伝えて信頼を得ることが重要
→ドイツでは森林管理署や森林組合が行っており、日本では森林組合とその連合会になるだろうが
行政も支援すべきで、供給の安定性に信頼が得られれば不利な価格交渉も減る。
・良質材の適正な評価、良質材を作るための優れた技術者、間伐での並材、低質材の利用・・・

10木を扱う技術者の育成
・今の日本の住宅は平均寿命25年あまりの消耗品で、伝統住宅を建てる大工職人は減り続けている。
→伝統的な和風軸組み工法の木造住宅は強度も耐久性もあり補修も増改築も容易で長期的には低コスト
→大学の建築科や工業高校は設計施工の監督育成が目的で、職人の教育が不可欠


第3部 新たな森林管理のために必要なこと

1森林管理のリーダーであるフォレスターの必要性
・どんなビジョンや目標を掲げても実践できる現場の技術者がいなければどうにもならない。
→林業技術者のリーダー→ヨーロッパに見られるレベルの高い森林官(フォレスター)が日本にも必要
・ドイツのフォレスター
→高級、上級、普通があり、いずれも現場中心に学び国家試験に合格して認定される。
→高級フォレスターは州有林などの現場で働き高級行政官、研究者、大学教官、民間幹部などに
→上級フォレスターは州の公務員として採用されると一つの任地で長年実務に当たる現場の中心的存在。
→普通フォレスターはそれに次ぐもので、やはり現場の実践的な活動のリーダー
→若者の憧れる職業ランクではパイロット、医師に次いで3番目で人気はさらに高まっている。
・ドイツの現場技術者
→各州に15歳以上を対象にした3年制の林業職業訓練学校が設置されている。
→やはり現場中心で修了試験に合格すれば林業技術士の公認資格、州に採用された林業技術士は
実務経験2年と半年の研修で普通フォレスターに、大学に進み上級フォレスターになるものもいる。
・日本でも2011年から林業作業士の研修制度はできたが、やはり教育機関の設立が必要
・日本なら国家公務員林学職の総合職合格者か一般職合格者の技官だが、大学では殆ど座学だけで
就職後はポストを短期間で変わるので林野庁の技官はフォレスターとは言えず、県の林業職も同じ。
・県には国家試験による林業普及指導員の資格者もいるがフォレスターとは程遠い。
・このため林業政策は現場から遊離した行政によってなされ、施策も全国一律になる。
・森林管理局、森林管理署は歴史的に国有林のみで現在でも民有林との繋がりは薄い。
・ドイツの森林計画は地域に密着したフォレスターからのボトムアップ、日本では補助金制度による
国からのトップダウン、地域の自然環境からはボトムアップが必要でフォレスターが不可欠。
・行政と研究機関を結ぶのもフォレスターで、国の研究者として相手がいないことを痛感していたが、ドイツで会ったフォレスターたちは異口同音に「あなたの研究成果を期待している」と言っていた。

2今の制度では技術の専門家は育たない
・林野庁の技官で幹部になる人が現場の実務に関わるのは若い間の2年ぐらい。
・フォレスターは一つの現場で10年以上、林業では成果を見るのに最低10年は必要だから。
・林野庁では戦前は技官がフォレスター的な役割を果たしていたが戦後はいなくなった。
・2014年からは林野庁の「森林総合監理士」ができたが短期研修だけで要員確保に過ぎないのでは。
・本気で現場に密着したフォレスターを養成するなら国や都道府県で採用時から・・・

3研究機関と行政の間の関係の改善
・研究者の業績評価は論文数で決まり結果の出やすい基礎研究に、行政職員は数年でポストが変わる。
・林学(森林科学)は応用研究が主体なので大学の研究や教育にもフォレスターは不可欠

4「根拠」を問うこと
・日本の補助金は全国一律の指定条件で経営者や技術者の創意工夫を摘んでいる。
・ドイツではフォレスターが各所有者と話し合い、それぞれの森林に必要な補助金が決められる。
→公務員であるフォレスターの存在自体が補助金ということもできる。

5ボトムアップの法律・制度・政策が必要
・日本の法律・制度はドイツに学んだが、ドイツでは1975年以降に大きく変わりボトムアップ構造に
→日本では森林法も林業基本法も明治以来の官主導の構図が変わっていない。
(法律・制度比較は省略)
・地域によって自然条件も社会条件も異なるので、様々な立場の声を反映させるボトムアップに。

6ボトムアップのための地域から国へのシステム
・2009年の森林計画制度の改正で市町村の役割強化が謳われたが市町村には体制も人材も乏しい。
・泉英二教授の「流域=森林計画区」→市町村の一部事務組合なら広域の行政主体として機能する
→都道府県→各ブロック→各森林管理局とボトムアップしていくシステムを構築する必要がある。

7森林所有者と市民の関係
・日本では観光地を除き林業の行われている森林で一般市民を目にすることはない。
→強い私権と管理責任で立ち入り禁止になっている。
→奥入瀬渓流の国有林遊歩道では自然落下した枯れ枝が観光客に当たり訴訟で国と県が敗訴した。
・ドイツでは州有林でも私有林でも、林道や作業道を一般市民が散歩したりハイキングしている。
→林業が持続可能な循環型社会に必要なことを市民が理解し、森林所有者に所得補償や補助金が
税金から多く投入されることを認めている。
→その代わり市民は公共財である森林のサービスを求める権利を主張する。
→私有林でも市民は立ち入る権利があり手に持てる程度なら山菜や果実を採ることも認められている。
→自由な立ち入りを認めるいっぽうで安全義務は市民にあることが明記されている。
・日本でも森林法に明記されるべきだが、この差が国産材利用率30%と100%の差の理由に思える。

8国際的視野に立つこと
・第2部5の国連の持続可能な森林管理プロセスで、1995年に国際的な基準と指標が定められたが、
日本の政策は未だにかけ離れたまま。
・ヘルシンキプロセスにもモントリオールプロセスにも参加したが、多数のNGOが参加していた。
→各国の代表者と同等の立場で意見を述べ議事録にも同等に載せられておりプロセスにも反映されている。
・FSC認証、PEFC認証、TEEBなど欧米では進化、日本でもSGEC認証はできたが反応は鈍い。
→国際的に学ぶべきものは学んでいくべき


第4部 豊かな日本の農山村と社会を目指して

1地球環境保全と森林の付き合い方
・大気中の二酸化炭素増大の原因の3/4は化石燃料によるもの、1/4は森林破壊によるもの
・地球生態系で炭素循環に最も大きく関与しているのは海洋生態系で次が森林生態系
・森林の二酸化炭素の吸収量(速度)を高めることと炭素の貯蔵量を高めることとの調和
・京都議定書で「よく管理された森林」も吸収量カウント対象になったので間伐を推進する政策に。
→正しい間伐で良い木の成長は高まるが吸収速度を高めるわけではなく政治的妥協の産物
→持続的利用に反した「温暖化対策」のための荒い間伐が目立っている。
・林野庁の「温暖化対策」のための短期伐採は持続可能な森林管理とは逆行している。
・森林を持続管理して木材を利用し続ける限り大気中の二酸化炭素量は増減しない。
→使って燃えるか腐朽すれば二酸化炭素が排出されるが次世代の木が同量を吸収するから
→石油や石炭を使うと二酸化炭素は増え続ける
・木材の加工に要するエネルギーは鉄の1/100、アルミの1/1000
・外材輸送のエネルギーも大きく木材は生産地で、その国で使われるべきで余剰があれば輸出。
・天然林は人手をかけず低コストで炭素貯蔵量を高く維持できる。
①自然状態で森林生態系の炭素貯蔵量を最大にすることを求める
→老齢段階の天然林を目標林型にする→生物多様性、水資源の保全にも
②炭素貯蔵量の目標を主に成熟段階のレベルに設定、収穫した木材をできるだけ長く使用し炭素を貯蔵
→森林生態系の場と木材利用の場の両方で炭素貯蔵量を高める
③建物など耐久消費財、日用品にできるだけ木材を利用、材料製造に必要なエネルギー量を節減
木質エネルギーを化石エネルギーの代替にする→長期的な累積効果は大きい

2持続可能な社会のために農山村に必要なこと
・グローバル経済の中で効率の悪い農山村は分業から切り離されるか中まで分業が浸透して崩壊してきた。
→農山村でもスーパーで輸入食品を買う、スーパーで働く、非木質のプレハブや外材の住宅に住む、
エネルギーは都市の電力会社やガス会社から、金はそこから海外の産油国に流れ循環が断たれている。
・生きるのに必要なのは水と食料と燃料と建築資材
→これは本来、国内の農山村から供給されるべきもの→(水以外)殆どを海外に依存しているのは危険
・森林の多い地域の活性化には製材用材の持続的な生産林業を振興させること
→製材用材に向かない材はパルプチップ材やエネルギー材に
→地域のエネルギー材としては裏山の生活林(所有林)も有効→余剰は売却
→農山村の暖房には暖炉、薪ストーブ、薪ボイラー(伊那市の例)
→生活林の落葉有機物や薪の灰は有機肥料に
→里山は観光資源としての価値も高い
・2011年の大震災は都市と農山村の乖離、地域の衰退、自治機能の欠如をさらけ出した。
→大合併によって町や村の役場は権限のない支所となり地域に即した復旧復興計画が立てられず
権限を持つ市はきめ細かな策定に苦労、国の縦割り行政もあって復興が大幅に遅れている。
・流域の地域社会が形成されていれば災害時の食糧危機は小さくなる。
・林業がストックのもとで経営され流通システムが整っていれば復興資材の欠乏が緩和できるし
木材による生活上の熱エネルギーも確保できる。
・この20年で農山村で生き甲斐のある仕事をしたい若い人たちが増えてきている。
→問題は受け入れる農山村の社会体制をどのように築いていくかである。
(長野県川上村・藤原忠彦村長の例)

3技術者が誇りを持てる社会
・日本で技術者のイメージはエンジニア工業系で農業技術者も林業技術者も技術者とは見ていない。
どちらも高度な判断力と作業技術を要する優れた技術者だが社会が評価する目を持たないから
なろうとする動機が乏しく育成するシステムも不十分なのだろう。
・教育制度に位置付けられた林業技術者養成の学校はない。
→県独自の2年制の学校はあるが終了して得られる資格や身分は森林法では全く規定されていない。
→高校や林業専門高校では林業と名の付く学科は減少している。
→大学の林学科(森林科学科)は座学中心で現場実習はほとんどなく林学科そのものも消失している。

4日本の森林と社会への決意
・構造の豊かな森林は、生物多様性の保全、土壌の保全、木材の供給、気象緩和、保健文化などの
森林生態系のサービスをバランスよく発揮してくれる。
・世界四大文明といわれる地帯が滅亡した原因の共通項は繰り返された森林破壊による不毛地化だが、
日本の縄文文化は1万年以上続き稲作文化と融合して現在に至る優れた文化と文明の土台となった。
・稲作を携えてきた弥生人が縄文人を駆逐しなかったのは、日本の圧倒的な森林に対応するために
縄文人の力と文化を必要としたからだと考えられている。
・水稲栽培に必要な安定的な水の供給には縄文人の森林活用の知恵が必要だった。
・6世紀に仏教が伝来し縄文文化に由来する神道と共存できたのは日本の森林と同じ照葉樹林帯を経て
伝わったからと言われており、それが日本文化の深層。
・室町時代からの人工林の育成が江戸時代に盛んになり現代に至るが、同一種の単純一斉林を育て、
途中で間伐収穫しながら最後は一斉に収穫するもので、弥生人の農耕文化の色合いの濃いもの。
→持続的な森林管理には縄文人の森林との付き合い方も付加した管理のあり方も加える必要がある。
・明治以降、工業技術や都市文明に偏り農林業を軽視してきたことは否めずバランスが必要。
・欧米ではグローバルな資本主義の中で、どのように技術の改善と市場の改革を行ったのか、
その先進事例を取り入れるだけでも日本の林業を取り巻く経済的条件はがらりと変わるだろう。
→木の文化を再構築すること→もともと日本列島に暮らす人々は森の民なのだから・・・
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